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怪談界が揺れている
今、怪談界がざわついている。
事故物件芸人の松原タニシさんが怪談として語っていた「事故物件」に出る「女の幽霊」の話が遺族から「亡くなった事件の被害者家族から身内が幽霊になっている」と怪談で語られ、映画にもされ、「その動画は削除して欲しい」との願いを3年前から言っているのになんの反応も無く、削除要請にも応えてくれていないのは誠意もなく・・・ということを「懲役太郎」というYouTubeでお願いされたのが拡散され広まった。
懲役太郎さんのYouTubeは私もたまに見ているので、そんなところから怪談界を震撼させることが起きるとは正直驚いた。
怪談界でも「実話怪談」の在り方についてがいろいろ問題となっていたり、「創作怪談」と違い実話怪談は「昔ここで、こんな事件があって、その時の被害者はこういう人でこんな酷い事件があった場所で・・・・」なんて話からの怪談となると場所の特定だったり、実際の事件だったりを調べる人もいたりして「被害者家族」の心情を害することになったりする。
私も自衛隊怪談を書いている。
実話怪談をうたってはいないが・・・、全部フェクションです創作です、嘘ですと、こういえば大丈夫なのか?
大丈夫なら敢えて言おう全部フェクションです。
うん、これで大丈夫。
私は封印している怪談が幾つもあるが、障りがあるのは別として、「被害者がいる」「実際の事故」があって、当時事故に関わった元上官が泣かれるのを見て、その事故の話は絶対に語らないし、書かないと決めた。
怪談とは大変不謹慎なものである。
その上で私は怪談を書くのは亡くなった人がこの世に出たりするのは「忘れないため」と思っている。
例えば戦争で戦死して、その戦場も戦闘も顧みられることもことも無く忘れ去られるのは余りにも酷く、せめて怪談を語ることによって「この戦場で戦死した英霊」を知ってもらいたいと思っている。
自衛隊なら、どんな勤務や任務をして、どんな生活をしてどんな思いで亡くなったか、知られることも無く決して顧みられなく忘れ去られ知られることも無いのは忍びなく思っているからだ。
それと同時に自衛隊生活の一端を怪談を通して紹介しているのだ。
私の自衛隊怪談はそういう自衛官の生々しい話を描いているつもりだから。
怪談って全て真実ではない。
「この間、ここで幽霊見て怖かった」と聴いただけでは怪談にはならない。
物語にもならない。
語った本人は本当に幽霊を見て怖かったんだろうが、「幽霊を見た」だけでは・・・ね。
なので物語、怪談にするために素材の話に肉付けして想像も入れて料理する。
素材があって美味しく料理できるか、不味くなるかは腕次第。
それが怪談を「語る」「書く」のでもそれぞれの技と実力が必要である。
だから「どうせ他人から聴いた話でしょう、私もあなたの話を聴いて(若しくは読んで)語っているから盗作じゃない」なんて論法は通じないのだ。
怪談を本当にあった真実のように思うのは語りて書き手の腕だが、その怪談の背景を調べて本当なのかと考察したり現場へ行くとかするのは余り感心しない。
そういうことが今回の事件の背景にあったりするのだから。
それにしても怪談というものが1つのジャンルとして確立し文化として根付くか怪談は忌避されるものと消えるか昨今の怪談ブームと共に考える過渡期に来ているのかも知れない。
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