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札幌散歩「立ち話」

11月に入り周りで少しだけ変化があったようだ。
以前よくランチへ行っていた近所の焼き肉屋が閉店した。

その焼き肉屋の近所がよく行くランチの店でそこからちょうど出たところを焼き肉屋の店長が私に声をかけてきたのだ。

私がその焼き肉屋へ行っていた頃は別の若い店長で、ランチをやったりいろいろ売り上げに奔走し頑張っていた頃に部下としてやっていた男であった。

前店長曰く「全く使えない男」であったし、近所のラーメン屋の店長も「あの男は使えない」と評するくらいの男であった。
でもイケメンで人懐っこい男なので利害関係も無い私にはどうでも良い話であった。

そのどうでも良い店長になってから、私はその焼く肉屋に一度として行ったことは無かった。
理由は二つある。
一つはランチは安価で良かったが、ランチを止めて夜営業は高くてとてもじゃないが行く気がしなかった。
高い理由が北海道産の肉じゃなく内地からわざわざ取り寄せている肉だったからだ。
もう一つの理由は、私が店の前を通る時間帯に一度として店が営業しているのを全く見なかったからだ。
午後17時から午後22時までの営業だったらしいが、その時間帯は店の前を通ることはなかったのだ。

なのでいつも店は電気が消え暗いイメージしかなかった。

使えない店長は、私を呼び止め「店が閉店してしまいました」と語るが・・・「この男が店長ならそうなることは予想していよ、1年ちょっとよく持った方じゃない」と内心思った。
6時間営業の高級焼き肉店じゃ・・・・・ね。

前店長はこの使えない男について随分愚痴っていたのを思い出す。
「遅刻が多く、言われたことも何度言ってもやれないし、自分の頭を使って考えたら判ることも全くしないし、気を使わないし・・・信用・信頼できなくて任せられないし全く使えないんですよ」と・・・。

その使えない男はいかに前の店長がダメであったか、店がフランチャイズで上から理不尽な指示と従業員との板挟みで苦労したかを語った。

小雨も降っていて「そんな愚痴俺に言われても・・・・・そもそも営業努力してないよね?」と思ったのは言わないでおいた。
私は焼き肉屋の噂もかなり聞いていて「飲み放題ないんですよあの焼き肉屋、私の中ではそれだけであり得ないので行くことはないと思いますね」という自衛官の言葉とか思い出される。

自衛隊が近くにあるのに・・・・。

そして一番の愚痴は近くのラーメン屋の質が落ちたことと、そこの店長の悪口であった。
ラーメンの値上がりと味が全く変わり美味しくなくなったことは多いに賛同した。
「もう行くこともないですね」と使えない店長は言った。
それ、反面教師だよね、お前は店潰したし・・・・ラーメン屋の店長のこと言えないよ・・・・と心の中で思った。

雨の中、愚痴られてもな・・・。

ただ、ラーメン屋の常連であったダメ店長と私は二度とあのラーメン屋で美味しいラーメンが食べられないのは残念だという思いだけは同じくした11月の昼下がりの立ち話であった。

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戦車兵
チップありがとうございます!!無理なさらず御覧頂けたら幸いです。