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自衛隊怪談「廠舎のトイレ」

最近自衛隊の処遇で「廠舎がボロすぎる」と自衛隊を応援すると称して自衛隊は酷い処遇をすると批判ばかりする超反自衛隊運動家が問題にして話題になった「廠舎」の話である。

そもそも廠舎とは演習場に寝泊まりする宿舎的なものだが、屋根があって壁があって雨露をしのげて、汚ったねーマットレスが常備され、ストーブあったりするとても素敵で快適なおんぼろ小屋のことである。

私は演習は基本「天幕」と呼ばれるテントを張って寝られれば良い方で戦車の中とか車中泊(普通科に比べたら天国だったろうね)も珍しくなかったので廠舎で寝泊まりした経験は少ない方であったろう。

そもそも廠舎のある演習場はそんなに多くないと思う。
思うと書いたのは、大きな演習場にあっても使うことも無く、他の部隊はどうかは知らないけれど私の所属した部隊は廠舎を使う概念が無かったのか使えなかったのか知らないが、廠舎で宿泊した経験が少ないのだ。

なので演習場で屋根と壁と汚ったねーマットレスがあるだけで贅沢であると思っている。

そんな数少ない廠舎経験だったからか妙に覚えている怪異があった。

夜間のトイレである。
演習場なら円匙を持って地雷埋設だが、宿営地が廠舎だと水道があったりするくらいなので「便所」というか「厠」というか・・・ちゃんとあるのである。

ぼっとん便所だが・・・・・・・・。
私のように大変高貴な生まれでお上品な男は地雷埋設は平気でもそういう臭くて不潔なところは・・・・・・ね。
でも文明人は便所を使うのだ、使うのだけれど・・・・ここの便所汚いだけでなく、なんか怖いのである。

夜間ともなると懐中電灯片手に用を足しに行く。
電気も消灯後はちょっと遠慮する。

寝床からトイレまで真っ暗闇だったりするからね。

大便所へ行くと・・・・「水洗トイレの水を流す音」が聴こえる。

「じゃぁぁぁぁぁぁぁぁーー」と・・・。

もう一度言う、ここは「ぼっとん便所」汲み取り式のトイレだ。

うーーん、誰か使用中か・・・・じゃない!!!ここ水洗トイレじゃねーのに何で水を流す音が聞こえるんだ?

怖えーーーよ。

いや、昨日までがぽっとん式で、今晩から水洗トイレになったに違いない、そうだきっとそうだ。

んな訳あるかーー!!!と自分に突っ込みを入れてみる。

「誰かいる?」と問いかけるが応えは無い。

おそるおそるドアを開けるとそこに・・・・何もいなかった。
便器の中が暗闇で臭い。

いやだな・・・便器から手が出て尻触られたら・・・・俺の尻かわいいからな・・・なんて思った訳もなく・・・。

勇気を振り絞って・・・・用を足した。

朝、その話を戦車のクルーにしたら、「夜にあの便所使うなんて勇気あるな」と言われた。

あの便所で昔と先輩が言い出した・・・・「ああぁぁぁぁ聴きたくない」と私は耳を抑えた。

そんな話日本全国にある話だ、定番だ、先輩だって知らないしどうせ作り話だ・・・と思った。

それにしても水洗じゃないのに、あの音はなんだったのか今もって不思議だ。





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戦車兵
チップありがとうございます!!無理なさらず御覧頂けたら幸いです。