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戦車回収車

戦車回収車というのがある。

「回収戦車」と「装甲回収車」の区別には明確な基準はないが、基体に戦車の車体を利用しているものや既存の戦車を改造したものが「回収戦車」と呼ばれることが多い。

大地次世界大戦で戦車が登場した当初から、戦闘で損傷した戦車を同種の戦車で回収することは一般的に行われていた。

しかし、戦車は戦闘損傷以前に機械故障や軟弱な地盤にはまり込んで行動不能になることも多く、稼働率の低下の原因になっていた。

そのため、第一次大戦後に戦車部隊が各国で本格的に整備されるようになると、行動不能になった戦車を速やかに戦線に復帰させるため戦車部隊には回収専用の車両を配備するようになった。

私が戦車連隊に居た頃に戦車が泥濘地等ではまり動けなくなることを「カメ」と言った。
カメになると近くの戦車が救助に来て脱出するが、それでもダメな時は「ヒトヒト(1小隊1車小隊長車)、ヒトニー(1小隊2車)送れ」と無線で報告する。
「ヒトにー送れ」と小隊長。
「ヒトヒト、ヒトニーカメ脱出不能、回収車の要請求む送れ」と2車車長。
「了解、要請する、終わり」小隊長は整備へ戦車回収を要請する。
2車の操縦手は恥ずかしいんだよな・・・このやりとり。

無線を傍受した各車では「2車の操縦手誰よ?あいつか、下手糞だな」と他の戦車の間で話題にっている。

戦車回収車が来るのはありがたいが、カメになった戦車には恥ずかしいことなのであった。


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