![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/165926441/rectangle_large_type_2_3ccf7b8ff42a01b1dabb694ccc3f53ce.jpeg?width=1200)
対空機関砲「VADS」
航空自衛隊の航空祭で、以前はよく対空機関砲の空包射撃を訓練展示していた。
対空機関砲「VADSバッズ」である。
「ブウウゥゥゥゥゥゥゥン」というバルカン砲独特の砲声はなんとも言えない音だった。
昔居た駐屯地近くの演習場でF-15戦闘機が同じ音を出して対地射撃の訓練をしていたので耳馴染のある音ではあった。
VADSは米軍で開発された対空機関砲システムである。
航空機関砲として有名なM61バルカンシリーズをもとにして開発された。
航空自衛隊では基地防空火器として配備されていた。
ウクライナとロシアの戦況は、日々刻々と変化し、新しい兵器が運用され戦術も大きく変化し世界の注目を集めている。
特に関心が高いのはドローンであり、ドローンの戦果は偵察・攻撃・自爆とその任務は多岐に亘っている。
ドローンを使うだけでなく、ドローンからの攻撃に対して防御する方法も必死に模索研究されている。
そんな中で、対空機関砲が注目されている。
自走対空機関砲は戦闘ヘリが高性能化して役に立たないと退役している国もあったが、ウクライナでは復活しドローン相手に大活躍しているという。
安価な小型ドローンに対しては、高価な地対空ミサイルを用いるのは費用対効果、すなわちコスパ(コストパフォーマンス)の面から割に合わないとされ、単純な機関砲の方が効果的と判断されるようになってきている。
具体的には、携帯式地対空ミサイル(MANPADS)1発が数百万円から1000万円するのに対し、機関砲の一連射は数十発でもせいぜい数十万円程度であり、コスト的にはミサイルの約1割に抑えることができる。
対空機関砲の重要性が再認識されている中で、残念なことに、日本においてはこの種の機関砲がウクライナで戦争が始まる直前に廃止されてしまった。
それが対空機関砲の「VADS(Vulcan Air Defense System)バッズ」だ。
VADSは、戦闘機に搭載される20mmバルカン砲を流用した地上発射型の短距離防空システムで、レーダーや光学照準器と連動させて目標に対して射撃かる。
発射速度は毎分4000発ないし6000発。
1980年代の配備当時は、敵機による爆撃への対抗手段として位置づけられていた。
しかし時代は変わり、より射程の長い巡航ミサイルが台頭します。
VADSはこのような新たな脅威に対してもある程度の対応能力を持っていました。
しかし、より高度な射撃制御システムを搭載した最新の対空ミサイルシステムと比較すると、特に射程の面や、ネットワーク化されていないことなどにおいて見劣りするようになってきた。
また、限られた人的リソースを有効に使うには、性能的に劣るVADSに人を割り当てるよりも、地対空ミサイルを充実させたほうが防空能力は向上すると考えられた。
結果として、航空自衛隊はVADSの運用を取りやめることを決定、2020年度末(2021年3月)に保有していた176セット全てを退役させてしまった。
ドローンに対して対空ミサイルだけではなく、安価な対空機関砲を併用することが効果的であると判明したことで、その価値が見直される事態となった。
皮肉なことに、飛行場の防空においてVADSは現在も有効な手段であり、決して時代遅れの兵器ではなかったのだ。
もし、ウクライナ戦争が数年早く勃発していたら、逆にVADSの退役が1年遅かったなら、その決定は見直され現役続行するという決断もあり得たかもしれない。
とても残念だ・・・・。
陸自にだって装備したらいいのにって思っていたからね。
基地防衛だけでなく駐屯地防衛にだって使えるし、キャリバー50より強力だからね。
いいなと思ったら応援しよう!
![戦車兵](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156588534/profile_4d743ef9cb07ec2439d1f04e66d136bf.jpg?width=600&crop=1:1,smart)