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袴田さんの神様は…


【袴田巌さんのドキュメンタリー】

「拳と祈り 袴田巌の生涯」。
冤罪に苦しんだ、袴田巌さんと、
彼を支え続けた姉の秀子さん、
そしてその支援者たちの姿を追ったドキュメンタリーです。
(ちなみに「袴田」は「はかまだ」ではなく
「はかまた」と読むのが正式なのだとか。知らなかった)
監督は笠井千晶。
2014年に袴田さんが釈放されてから22年間、取材を続けたとのこと。
22年間の映像の積み重ねは、もの凄く重みがあります。

【冤罪で47年7ヶ月も獄中】

1966年に起きた、味噌会社一家4人が殺害された事件。
その犯人とされたのが袴田さん。
無罪を主張するものの、死刑の判決となる。
その時、30歳だったとのこと。
2014年3月に釈放された時は、78歳になっていました。
何とも気が遠くなるような時間…。

【拘禁症状】
東京拘置所から出て、姉の秀子さんと一緒に暮らすようになった袴田さん。
でも、彼は「死刑囚」のまま。
そんな袴田さんは、部屋の中をずっと歩き続けたりする。
言葉も、ちょっと異様というか、意味不明なことを呟いたりする。
拘禁症状と呼ばれるものとのこと。
そりゃ、あんなに長く拘束され、いつ死刑になるかと怯えながら暮らせば、
そんなことにもなるよなぁ…。
そうした姿が克明に映し出されるので、驚かされました。
全然、知らなったので…。

【支援を続けた人々】
袴田さんを支えたのは、3歳年上の姉、秀子さん。
この秀子さんが、何とも笑顔が魅力的。
あんなに厳しい状況なのに、何故そんなに前向きなの?
というくらい笑顔を見せてくれます。
(でも、挫けそうな時もあったのだろうな、と勝手に想像…)
この方がいたからこそ、巌さんも頑張れたのだろうな。

弁護団の方々も真摯な対応。
再審が決まった時、彼らの流した涙には、私も、もらい泣きでした。
(これは知っていたにも関わらず…)

そしてボクサーだった袴田さんを助けようと、
日本ボクシング協会も活動を続けていたとのこと。
こちらは、あまり知らなかったので、その地道な活動に頭が下がりました。

【袴田さんの神様】
袴田さんは獄中でクリスチャンの洗礼を受けたとのこと。
しかし、地元・浜松で秀子さんと暮らし始め、
街を歩き始めるようになると、様々な神社にお参りをするようになる。
そして「世界が…。神が…。そういう風になっているンだねぇ…。」
自分が神になった、というようなことも??
よくは、分からないが…。
でも、そこまで見続けた私が思ったのは、
「あなたの神さまは隣にいますよ! お姉さんの秀子さんですよ!!」
ということだったりした。
街を歩き回り、階段から落ちて怪我をして、病院に運ばれたりしても、
「まぁ、巌のやりたいようにやらせてあげたい」
と、笑顔で見守り続ける秀子さん。
「これが守護天使というものか」
などとも思う次第でしたね。

【無罪確定】
今年の9月に無罪確定。
当たり前の結論になった、とはいえ、検察は本当に酷い。
巌さんは88歳。秀子さんは91歳になっています。
奪われた時間は帰ってこない…。
警察の取り調べの時の録音テープも、映画の中で提示されます。
これが何とも生々しい。
まさに「真昼の暗黒」。
(あの映画もキツかった💦
 1956年の今井正監督、橋本忍脚本の映画。必見だと思います。)
「罪を認めろ」「お前がやった」「被害者に謝罪しろ」などなどなど。
一日、12時間から16時間、取り調べを続けたこともあったとか。
そりゃ、耐えきれなくなったりするだろう…。
しかし、警察、検察が証拠捏造って、もう、何だよ、そりゃ。

アメリカの元ボクサーで、冤罪と闘った、
ルービン・"ハリケーン"・カーターも登場。
袴田さんにエールを送ります。
(カーターさん、2014年の4月に亡くなったとのこと)

【観てほしい】
こういう冤罪なんていうことがあるので、
私は死刑制度には反対です。
(まぁ、様々な意見はあるのだろう、とは思いますが…)
この映画、ユーロスペースなどで上映中。
色々なことを考えたり、感じたりする機会になると思います。
そして「生きている守護天使」を目撃できる。
是非、観ていただきたいです〜!!


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Takashi Hashiwaki
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