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「ロボット・ドリームズ」その豊穣さ、潔さ、そして繊細さ。

【セリフが(ほぼ)無いアニメーション】

「ロボット・ドリームズ」。
パブロ・ベルヘル監督。
スペイン産のアニメーション。
実は、まったく何も知らずに観に行きました。
新宿武蔵野館でポスターは見てたくらいか。
20歳ほど年下の友人が、
「あれ、評判、良いみたいっすね。観たいンだよなー。」
と言うのを聞き、
「ああ、あのポスターの。」
くらいな感じでしたね。
そして行ってみたら、セリフが(ほぼ)無い作品だと知りました。
叫び声とかをセリフだと考えると、ほぼ?
まぁ、セリフの無い映画と言って良いのかな。
代わりに音楽や音が、雄弁に色々なことを語ってくれます。
その辺りは、随分と手間暇と知恵を傾け、情熱を注いだようです。
ミュージック・エディターと言う肩書きの、
原見夕子という日本人スタッフが活躍したとのこと。
(監督のパートナーだという記事も読んだような。ちと、あやふや。)
音楽担当のアルフォンソ・デ・ベラロンガという方の仕事も、とても良い。

【出会いと別れと、その後の展開と】

「ズートピア」や「ビースターズ」みたいに、
人間ではなく、動物たちが生活を営む世界。
孤独な毎日を送るドッグが、
市販の「お友達ロボット」を購入するのが、物語のプロローグ。
アース・ウィンド・アンド・ファイヤーの曲、
「セプテンバー」が印象的に使われ、耳に残りますね。
ドッグは友人を得て、楽しい日々を過ごすのですが、
夏の終わりのある日、運命のイタズラで、離れ離れになってしまう…。

【映画が大好きなのね】

ベルヘル監督は、もう本当に映画が大好きなんだろうなぁ。
様々な作品のオマージュが展開されます。
それを一つ一つ、
「これは、アレか?」
と探り、妄想してみるのも、映画ファンにとっては楽しい作業(?)だと思います。
私が、これかな?と思ったのは、
「オズの魔法使い」、「追憶」、「誓いの休暇」、
バスター・キートンの様々な作品、
ジーン・ケリーの様々な作品、そしてバスビー・バークレーの
様々な華やかミュージカル(「ゴールド・ディガーズ」とか)、
ロボットと鳥の絡みは、ひょっとして「ラピュタ」??
などなどなど。
他にも沢山あったんだと思います。見返すと、また発見があるのかも。

【豊穣さ、潔さ、繊細さ】

割とベーシックな展開なのです。
でも、ああ、こういう展開なのか、
と思うと、実は…、と裏切ってきたり、
色々な仕掛けに満ちた映画になっているのも良かった
窓に映る影の描写やニューヨーク(らしいのですが)の雑踏の音や、
先にも触れたミュージカルのシーンや、
ドッグとロボットのダンスと、
それに関連する記憶にまつわる場面の見せ方とか、工夫に満ち溢れています。
ロボットの姿の変容も、こちらを唸らせるアイディアだった。
で、セリフ無しなので、説明過多にはならない。
(余談ですが、昨今の日本映画によく現れる、すべての状況や感情を逐一説明していただける、いわゆる「副音声映画」は好きになれません…)
豊穣で、潔く、そして繊細な表現が、この映画には満ち満ちていると思います。

【2人はどうなる?】

ドッグとロボットは、再会できるのか?
そこは、まぁ、それぞれで確認していただくとして。
実に観る価値が、大ありな作品ですよ。
ラストに至るまでの、
お話の持っていき方も、とても良かったと個人的には思います。
とても余韻が残るエンディングだったな。
(ああ、本当は色々と具体的に書きたいような気も…(笑))
是非とも、映画館のスクリーンで観ていただきたいです〜!!

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