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2024年日本映画&外国映画ベスト10
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
さっそく新年1本目の映画を
……と行きたいところですが、年末年始は映画館から遠い場所にいて、年明けまだ1本も映画館で映画を観ていません。
そんなこともあって、今回は昨年観た映画のベスト10を挙げてみたいと思います。
ふだんは「映画に順位などつけるのは無粋だ!」をモットーにしている私ですが、多少なりとも読者のみなさんの映画選びの参考になれば……。
【日本映画】
●第1位 「夜明けのすべて」
三宅唱監督の良さが発揮された作品。弱さを抱えた者同士が、肩を寄せ合い助け合って生きていければ……というメッセージがそこはかとなく伝わってくる。松村北斗の自然体の演技、上白石萌音の陰影のある演技も素晴らしかった。
●第2位 「ぼくのお日さま」
フィギュアスケートを学ぶ少年と少女、コーチの温かで美しすぎる物語。ミニマムだが宝物のような作品。美しい映像も含めていつまでも余韻が残る。脚本に加え撮影、編集も兼ねた奥山大史監督の手腕か光る。
●第3位 「悪は存在しない」
ストーリーはシンプルだが、その向こうには深遠なテーマが横たわる。観る者の想像力を刺激する濱口竜介監督らしい作品。なんだかすごい映画を観てしまった、というのが素直な感想。
●第4位 「ミッシング」
失踪した娘を探す母親の心情をリアルに描いていて、少しも目が離せなかった。石原さとみの圧巻の演技が光る。
●第5位 「ナミビアの砂漠」
21歳の女性をひたすら追う予測不能なドラマ。閉塞感漂う今の時代でもがく主人公を河合優実が好演。同じく主演の「あんのこと」の演技も素晴らしく、昨年は彼女にとって飛躍の年だった印象。
●第6位 「ぼくが生きてる、ふたつの世界」
聾者の両親を持つ息子の葛藤と成長を描いたドラマ。実話を基にしているが、呉美保監督は原作の内容を入れ替えてより感動を深めてくれた。個人的に昨年最も涙した映画。
●第7位 「彼方のうた」
独特の作風で知られる杉田協士監督の作品。いわゆるエンタメ映画のようなわかりやすさとは対極の映画だが、ミニマムで想像力と好奇心を刺激する。こういう映画も良い。
●第8位 「一月の声に歓びを刻め」
三島有紀子監督が自身の幼い頃の性暴力の体験を基に描いた作品。カルーセル麻紀、哀川翔、前田敦子の演技が秀逸で、彼らの心の痛みが伝わってきた。
●第9位 「侍タイムスリッパー」
低予算ながら時代劇への愛にあふれた作品。時代劇衰退の時代に、東映京都撮影所の特別協力を得て本格的な時代劇を展開した心意気に拍手。
●第10位 「アイミタガイ」
故・佐々部清監督をはじめ、多くの人の思いが受け継がれて完成した映画。穏やかで、温かで、人と人とのつながりの大切さを教えてくれる作品。
【外国映画】
●第1位 「パスト ライブス/再会」
幼なじみの男女の24年目の再会。繊細な感情描写のおかげで切なさがどんどん募り、ラストシーンは胸が痛いほどだった。過去に観た恋愛映画の中でも上位にランクされる作品。
●第2位 「ロボット・ドリームズ」
ロボットとドッグの友情と別れを描いたアニメ。「パスト ライブス/再会」と同様に繊細な感情描写が目立つ。音楽の使い方も巧みで、心を揺さぶられた。
●第3位 「ビニールハウス」
貧困、介護問題、少年非行などの様々な社会問題をスリラー仕立てで浮かび上がらせる。「半地下はまだマシ」という日本でのキャッチコピー通りの映画。新人のイ・ソルヒ監督の才気が光る。
●第4位 「コット、はじまりの夏」
内気な少女のひと夏の出来事。遠い親戚の夫婦との交流を描く。温かくて、心が洗われるような作品。アイルランドから届いた珠玉の一作。
●第5位 「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」
寄宿制の学校のクリスマス休暇、教師と生徒、料理長の居残り3人組の変化と成長を描く。アレクサンダー・ペイン監督の熟練の語り口が光る。地味だが味わい深い映画。
●第6位 「関心領域」
ナチスによるホロコーストをユニークな視座から描いた作品。音の使い方の巧みさも目立つ。想像力を刺激されスクリーンにくぎ付けになって目が離せなかった。
●第7位 「落下の解剖学」
雪の山荘で起きた転落事故。殺人の嫌疑をかけられた妻を巡るスリリングなサスペンス&人間ドラマ。ドラマの進行とともに人間の様々な側面が露わになり、背筋が寒くなった。
●第8位 「哀れなるものたち」
現代に通じるテーマを持った強烈な刺激のフランケンシュタイン物語。ヨルゴス・ランティモス監督らしさが全開の映画。刺激は強いが見応えは十分。
●第9位 「オッペンハイマー」
天才物理学者の苦悩に満ちた人生を描き出し、核の恐ろしさと赤狩りの恐怖を見せつけた作品。クリストファー・ノーラン監督の演出、映像のパワー、俳優の演技に圧倒される。内容に突っ込み不足は否めないが、観る価値は十分にある。
●第10位 「密輸 1970」
海女さんたちが団結して男たちに一撃を食らわせるアクション映画。特に水中アクションが出色。細かなことを考えずに楽しめる娯楽映画の快作。
いかがでしたか。
健康食品の断り書きではありませんが、あくまでも個人の感想ですので(笑)。
さて、今年はどんな映画に出会えますやら。