遠く
どこか遠くに行きたいな
とりあえず遠く遠―くに
思いつかないくらい遠く
行ったことも見たこともない
聞いたことすらもないような
何も知らない街に降り立って
誰もわたしのことを知らない
わたしも誰も知らない場所で
知らない街の風をうけて
知らない街の景色を眺め
知らない街で生きる人々
そういうものを感じたい
どうしようもなく思える時も
わたしがたどり着ける範囲に
まだ知らない場所がたくさん
そしてそこにも生の暮らしが
存在すると感じられるように
目の前のことに集中するときがあるなら
目をそらしてもいいときだってあるはず
いらないものはその辺に置き去りにして
お気に入りは一緒に抱きしめ連れていく
大丈夫死なないから
大丈夫生きてくから
だから今は少しだけ
どこか遠く遠―くへ