〇〇〇〇ブルー
これまでで一番長期間働いたのは
ローカル気味な大企業の子会社で
仕事内容はわりと気に入っていた
グループ全体で統一した作業着が決まっていて
よくある色に見えるけれど特殊らしいその青は
グループ名から〇〇〇〇ブルーと呼ばれていた
今でも見ればすぐ分かる
街中で作業中の人たちや
干してある洗濯物の中や
そのまま通勤する姿とか
ほんとはNGなんだけど
ずいぶん前に仕事は離れているのに
無防備にその青を目にしたら途端に
胸の奥からざわつきが消えなかった
現場にさえ出なければ
上は襟付きの服ならば
何でもいいと言われて
ごわごわした上着より
楽なシャツを着ていた
あのひとも同じなのか
ほとんど上着は着ずに
どこで見つけたのかと
思う位に不思議な色の
ポロシャツを着ていた
目前を通り過ぎる時の
ちょっと特徴的なその
歩き方を思い出したり
猫背気味なのに意外と
肩がしっかりしている
背中のことを思い出す
振り返り始めると
いらないことまで
思い出しそうだし
本当に色々あったよなと歩きながら
〇〇〇〇ブルー と口にしてみたら
ざわつきはもうどこかへ行っていた