Just a private conversation

あなたと働いたのはほんのつかの間
記憶に残らないほどのたった2か月
しかも10年以上前の話です
でもその短さのわりには
驚くほどたくさんある思い出を
あなたは見ていないはずだけれどここで
今日は語りたいと思います

社会人経験の少なかった私に
あなたは本当にいろいろなことを教えてくれました
どの飲み会に出ておいたほうがいいとか
職場の人に年賀状を出すかどうかとか
現実に目の前に広がっている人間関係のこととか

あなたもきっとしんどい時期で
それでも嫌がらず私の面倒を見てくれました
敬語とかは気にしなくていいからすぐに相談してとか
出張中は毎日メールを送ってあったことを話してとか
しんどいとき飲み物をおごってくれたりとか

あなたが喫煙者だと知らずに
「この駅から乗り込む人は
煙草臭くていやだった」と
学生時代の話をしたことがありました
あとからあなたが喫煙者だと知って
悪いことをしたなと思ったけれど
あなたは何も言わずにいてくれて
ただ飲みの席だとしても
私の前では煙草を吸いませんでしたね

私が早々に音を上げて
仕事を辞めることにしたとき
あなたがそれを知っているのかと
話していいのか分からないまま確認しました
あなたは知っていると言って
知っているけど気にしなくていい
仲間なんだからと言ってくれて
約束した日までは続けられるように
いつも気遣って見守ってくれましたね

私が辞める日が近づいて
引継ぎも全くうまくいっていなかったとき
あなたはいつも通り接してくれて
退職の記念にとプレゼントまでくれました
今でも大切に持っています
コーヒーについての本だったけれど
コーヒー好きだと言ったことはないはずで
なぜそれを選んだのかを最後まで聞けなくて
今でも聞いてみたいと思っています

私が最終出勤日を迎えて
それでもトラブル続きだったとき
あなたに伝えたいことを書いて
紙切れをキャビネット越しに差し出しました
あなたは何食わぬ顔で受け取って
私たちは会話しながらその動作をしたけど
最後に書いた私のメールアドレスに
その晩すぐにメールをくれて
最高のアシスタントだったと言ってくれましたね

妹が欲しかったと言って
本当に妹のようにかわいがってくれましたね
真面目な顔で冗談を言って
泣いてもいいよと抱きとめる仕草をしてくれましたね

最高のアシスタントだったと言ってくれたから
私は最初の躓きから立ち直って
また別の場所で仕事をすることができました

Just a private conversation
と半分愚痴のようなメールを送ったことを
それにも真摯に応えてくれたことを
今でも覚えています

何もかも感謝することばかりで
私にとってはとても大切な記憶で
でもずいぶん昔の短い期間のことなので
あなたはたぶんすっかり忘れているだろうし
直接伝えるにはきっと
ちょっと重たいくらいの話なんです

Just a private conversation.
Happy birthday. 22th April, 2022.