Fighting Girl

国際結婚についてどう思うか
英会話の授業中に出た話題で
日本人同士ですらわたしには
理解し合えないときがあって
自分には難しそうだと話した

講師の彼は長身の英国人で
元は心理学の研究者だった
穏やかすぎる人柄はときに
授業が甘すぎると仇になり
恐らく本人も分かっていた
ただそこは心理学者なので
色々経験した結果の現状を
無理に変えたりしなかった

I understand what you’re saying,
thinking completely.
Always completely understand.

彼はわたしにそう言ったけど
そこまで言えるのかと当時は
面白可笑しく感じたのだった

英語で話しているときの自分はたぶん
ほんの少しだけFighting girlと思う
日本語だとのんびりゆっくり話すから
そう言うと彼はそれ以上にのんびりと
わたしの英語を聞いていればだいたい
日本語もそんな感じだろうと思うよと
言っていたからわたしは英語もきっと
のんびりゆっくり話していたのだろう

それでもほんの少しだけ英語のほうが
強く出られるような気がしていたのは
慎み深くあれと教え込まれ染みついた
呪いのような「女性のあるべき姿」で
本当はもっと端的な言葉で考えを述べ
男も女も関係なく言ってやりたかった

まるで違う人格が現れるように
率直に意見できる環境があって
ついでに英語名まで付けていて
わたしはFighting girlだった

言わないでいることの価値も知った今は
あえて言わないでいることを山のように
抱えたまま静かに未来を思い描いている
周囲の環境を俯瞰して達観できるように
ぎこちない空間をうまく避けてかわして
日本語でも英語でも心の奥底はいつでも
今もFighting girlのままなことは内緒で