髪を黄色くした日の話

「髪を黄色くした日の話」です
ほんとうにほんとうの黄色です
びっくりするくらいの黄色にしたんです

やってみたいと思ったからやっただけのことで
結果本人のテンションは爆上がりでした
はしゃぎすぎて次の日眠くてたまらなかったほどです
周囲の反応は正直さまざまだったけれど
自己満足超大事 なので自分の気持ちを大切にしていたいです

その日は美容院で髪を黄色くしながらも
けっこう真面目な話をしていたんです
働くとはどういうことだろう とか
好きなことを仕事にしていいものか とか
不満を仕事と割り切れる限度 とか
ぶっちゃけ収入の問題は とか

年齢も年齢だしブランクもあるしなー
ってちょっと控えめに発言してみたんです
自信満々に言えるような立ち位置でもないかと思って

そしたら
そんなブランクなんて全然問題ないし
年齢って結局あんまり関係なくない?
やりたいと思って実際に動けるときがそのとき
みたいな話の流れになったんです

あとこれは冗談で
今から二年理容学校行ってうちに就職するとかねー
いつでもうちは絶賛スタッフ募集中大歓迎なんで
なんて話もしました

これまで接客の仕事は経験が無くて
興味はあるけれど向いてないかもと思っていて
でも思ったときに動けるかどうかがポイントなら
興味が勝った時の自分の勢いに身を委ねることが
あってもいいかもしれないと思いました

せっかくきれいな黄色に染まったので
景色のいいところで写真を撮っておこうと
海の見える公園まで歩いていきました
おいしいと評判のクロワッサンを買っていきました
途中通り過ぎる建物のガラスに自分が写るたび
自分の髪のあまりの黄色さに何度も笑いました

海で灯標っていうらしい塔の前でカメラを向けてみたら
髪の色と灯標の色が全く同じだったんです
笑えるくらい同じだったので比較写真を撮っておきました
すごい黄色になったもんだなあと改めて思いました
黄色のペンキと同じ色ってことですからすごい黄色です

例のクロワッサンはクロワッサンという名前だけど
生クリームとカスタードクリームを合わせた
クリームがはさんであるスイーツなんです
クリームは甘すぎず重たすぎず生地はサクサクで
確かにおいしいなと海風を全身に受けながら食べました

しばらくは会う人ごとに驚かれるんだろうなあとか
まだ自分でも見てびっくりしてるしなあとか
考え出したら自分の決断が不思議になる瞬間も
たびたび訪れるのかもしれません
でも たとえそんなときがきたとしても
何枚も自撮りしてテンション高く楽しんでいる自分が
黄色と思ったときに黄色を選んで満足している自分が
その不思議に対する何よりの答えなのだから
今日という日の気持ちを一生でも覚えていようと思いました

そんな もしかしたら一生に一度の
「髪を黄色くした日の話」でした