終点は海
夕方のバスはどうも苦手だ
朝のバスは中途半端な時間だからか
必ず座れるし朝のさわやかさがある
夕方のバスはやたらと満員になって
誰もが一日の疲れを吐き出すようだ
ついでに言えば個人的には
「帰る」という行為自体が
気が重くてたまらないのだ
バスに乗り込んだとたんに
頭痛や腹痛や眩暈を起こす
夕方のバスはどうも苦手だ
誰もが余裕をなくす車内で
大き目のリュックを抱えて
身体を小さく縮めて耐える
バスを降りてもそのあとに
いい夜は期待できないのに
終点はたいてい海まであと少しの
絶妙なポイントで降ろされるけど
時間帯によっては終点が海になる
いつか何も振り返らず気にせず
終点まで小さなバスに揺られて
夜の海を見ることがあっていい
そのまま終点まで行ってしまう
夕方のバスがいつかあっていい
終点は海だから