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射手座満月の詩 2023

射手座満月の詩


狩人の獲物は野うさぎ
目標を定めたら目を瞑る
それは
おおらかで楽天家な彼があみだした
少し風変わりな狩猟方

野うさぎを得るということだけに頓着して
視野が狭まってしまわないように、
大事なものを見逃してしまわないように

目を瞑ったら
狩人は空想する
紫陽花の小道で新居を探す蟹
風まかせにヨットで旅をする牛
星屑がつまった肥沃な土の中で愛を育む魚
3匹は口を合わせたように言う
「どこにいても、なにをしていても、僕は僕を信じている」

力を抜いて、目を瞑る
ピンと張り詰めた心では
どれだけ目を凝らしていても
目の前の野うさぎが
見えなくなってしまうから

森の目は狩人の目
鳥の目
草木の目
地面の目
視野を広げて見たこの森で
彼が野うさぎを得るかどうかを
決めるのは彼ではなく
彼は森の計画に従うだけなのだ

泡のように頼りのない決意で
野うさぎを狙う
でも
そこには揺るぎのない信仰がある
森の計画に従うだけの彼は
自分に与えられた神秘を知っている

それは
彼が矢を射ることができるということ
彼が矢を射ると
矢は方向を定めて飛んでいく
それは彼が矢を射ったからに他ならない
彼の行動が森の計画を実行していく

的を定めたら
目を瞑る
力を抜いて
矢を放つ

獲れるかどうかは風まかせ
彼が矢を放ったという神秘が
現実を動かしていく

これが
おおらかで楽天家な彼があみだした
少し風変わりな狩猟方


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