天命反転住宅 Reversible Destiny 【滞在レポート】
三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller は、芸術家/建築家の荒川修作+マドリン・ギンズによる、世界で最初に完成した「死なないための住宅」。
「死という宿命(天命)を反転させる」をコンセプトに、ここに住むと身体の潜在能力が引き出される。
さまざまな身体能力の違いを越えて、この住宅には住む人それぞれに合った使用の仕方があり、その使用法は自由。
http://www.rdloftsmitaka.com/
今回は5回目の滞在。
4月より研究員のサポートでかかわらせていただいたご縁で、打ち合わせなどに同行させてもらった。
この家に滞在するといつも面白い気づきがあるので、それを書きとどめておきたいなと。
ひとつは身体(からだ)の違い。
私は慢性肩こりで、気が上に上がりやすくいつも頭・肩・首あたりにツッパリを感じているのだけど、ここに来ると徐々に気が下に下りて身体が楽になる。
めぐりもいつもよりいいかんじ。
何よりごはんがおいしい。(何食べてもおいしく感じる)
変な空腹感がない。(満たされないところからくる偽の空腹がない)
もちろん、気持ちの変化も。
とにかく楽しい!こどもに返ったように自由になれる気がする。ついついはしゃいでしまうこともしばしば。
思ったことがそのまま出る。(感情も言葉も)
初対面でもみんなと仲良くなれる。球体の部屋でみんなでごろごろなんてことも。
今回は滞在期間に外に出て美術館に行ったり、人に会ったりして、その影響もかなり作用していたなと。出会った人との交流が面白かった。
一日目天命反転に着く前に、入口として塩田千春展を観る。
タイトルどおりたましいがふるえた。
DNA、生死、言葉にならない感覚。
たましいが揺さぶれ、よくわからないまま私は泣いていた。
その入口があっての三鷹入り。
一泊目はこどもたちとお泊りで、純粋で自由な表現にこちらも癒され同じように楽しんでいた。
二日目は「夢みる力――未来への飛翔 ロシア現代アートの世界」で、シンポジウムやレセプションにも参加。
そこで感じたことは、アートの世界も、仏教の世界も、そしてほかのさまざまな世界も、ほんとうは同じことを表現しようとしているんじゃないかということ。
その根源は同じなんだと思った。
その行き帰りのバスの中での、ボディワーカーの女性との対話にまた刺激をもらう。
感覚は思考よりもずっと強く、とても大切なものであるということ。
それが思考でなんとかしようとしていたわたしに刺さる。
三日目は午前中のんびり、ごはんを作ったり、お洗濯をしたり。
あの家はいるだけで、どんどん整ってくるからすごい。
出かけるのもいいけど、あそこに「居る」ということだけで細胞が喜んでいるかんじ。
あの家で生まれる対話も、いつもながら永久保存したいと思った。たくさんのお水をもらって、生き返ったような気がした。
四日目は、事務所の方々との打ち合わせに同席。荒川作品を通してのネットワークが国内外問わず広がっていることを目の当たりにした。
大阪に帰るとなった最後、本当は思っていたことを言えなかったような心残りがあったけど…
to be continueな形で次につながっているような気がする。
振り返って思うことは、
わたしがよりわたしになって帰ってきたな。(たぶん、いつも同じことを言っていると思うけど)
反転ではなく、一回転。
一応宙には浮いて、ふるえるのだけど、さらにぐーんと回転してふわりと着地。
Reversibleって違うものに変化するのではなくて、可逆ってこと。しかもそれって元の状態に戻ることができるということ。
ことばにするわけでもなく、形でここにあると証明できるわけでもない、でもつながっている感覚。
それを実感できた旅。
こうして言葉にして残せたこと、出会ったみなさまに感謝。
合掌。なもあみだぶつ。
#Reversible destiny