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【講義:開業の経営学】#3 理念があるといい3つのこと
ぼくの講義「開業の経営学」では、治療院経営には〝理念〟があるといいよ、と耳にタコができるほどお話ししています。
じゃあなぜ〝理念〟が大事だと思うのか。
今回は、〝理念〟があって良かった3つを厳選しました。
その3つはこちら👇
・治療院運営の『軸(幹)』となる
・紹介しやすい
・協力者、応援者がつく
今回の記事で、なぜ〝理念〟が必要なのか、〝理念〟が経営においてどの様に役立つのかを考えるきっかけになればと思います。
それではいきましょう!
◼️治療院運営の『軸(幹)』となる
治療院経営において〝理念〟があって良かった思えた事1つ目、
「治療院運営の『軸(幹)』となる」の解説をしていきます。
突然ですが、あなたは「何のために」施術家を目指し、資格を取り、開業を目指したり既に開業をしていますか?
あなたの「何のために」はさまざまあると思います。
この「何のために」が〝理念〟であり、その先にある〝ビジョン〟に繋がっていきます。
そして〝理念〟は、治療院運営の『軸(幹)』となります。
開業をするという事は、あなたの「生き方そのもの」に直結します。
〝理念〟を掲げる事で、
「生き方=治療院運営」の〝軸(幹)〟となるんです。
ここで、
〝理念〟〝手段〟〝ビジョン〟を理解する上でわかりやすい図、「理念ツリー」を紹介します👇
![理念tree](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61114995/picture_pc_4a65d77ae2c5275d9e0a927783bcded6.png?width=1200)
「理念ツリー」の幹の部分が〝理念〟。
しっかりとした幹があると、枝の様にやるべきことが見えてきます。
この枝の部分が、理念を実現するための〝手段〟。
治療院運営・生き方の『軸(幹)』である〝理念〟を基に出てきた〝手段〟に取り組んだ結果、あなたが思い描いた〝ビジョン〟に近づいていきます。
〝ビジョン〟は、図のような桜の花かもしれないし、リンゴの実の様なものかもしれません。
それは〝理念〟を実現した先にある、あなたが思い描く「未来」のこと。
たとえ、枝である〝手段〟が失敗したり、間違っていたとしても、ブレない、しっかりとした『軸(幹)』あれば、幹からまた違った枝を伸ばしていけばいい。
〝ビジョン〟〝理念〟の実現を見据え、枝を伸ばして挑戦していけます。
ただ、ここで大事なのは、図の根っこの部分である〝人間力(人間性)〟〝コミュニケーション力〟〝技術〟など。
この3つのレベルが「0(ゼロ)」だと、立派な〝理念〟や〝手段〟があっても思い描いた花や実は成りません。
「0」になにを掛けても「0」ですよね?
しっかりとした根っこを張っておくことで、しっかりとした幹である〝理念〟につながります。
幹とともに、根っこの部分も常に磨いていく必要があります。
これは生涯の勉強だと思いますので、私も精進します(^^♪
もう1つ意識しておきたいのは、「お金」は〝理念〟を実現するための〝手段〟であること。
お金は、稼ぐ時でなく使う時に価値が生まれます。
あなたの〝理念〟実現のためにお金を使う。など、価値あるものに使いたいですよね。
〝理念〟を持って治療院経営をすると、「生き方=治療院運営」の〝軸(幹)〟となり、あなたのやりがい・モチベーションになっていきます。
それがやがて、あなたの街や社会の貢献へと繋がっていき、『必要とされる治療院』になっていきます。
■紹介しやすい
2つ目、〝理念〟があると自分の治療院を「紹介しやすい」といういい点があります。
この「紹介しやすい」というのは以下の2パターンあると思ってます。
①自分が治療院を「紹介しやすい」
②人が自分の治療院を「紹介しやすい」
まず、
①自分が治療院を「紹介しやすい」について。
開業にともない、避けられないのが「営業」ですよね。
ぼくは、営業時に〝理念〟があってよかったとつくづく思いました。
「営業=治療院紹介」といえます。
つまり、治療院の自己紹介ですね。
あなたは営業時、どのように自分の治療院を紹介していますか?
もしかして「〇〇(腰痛・肩痛などの症状)な患者を治療できます」とか、「〇〇療法をしています」などのように話していませんか?
だとしたら、すごく勿体ないです。
偉そうなことを言っているぼくは開業したての時、上記のように話していました( ;∀;)
そのような営業をしていた時の印象は、
「相手は話を聞いていない」
でした(;'∀')
そうなんです。
一生懸命話しても、相手は聞いてるふりをしてあまり聞いてない。
1分も経たずに飽きている様子でした。
それもそのはず、「〇〇(腰痛・肩痛などの症状)な患者」の「〇〇症状」なんて、聞く人がその症状に困っていなければ興味ないんですよね。
まして、「〇〇療法をしてて~」なんて話は、一般の人にはわからない世界なので時間が限られている営業では伝わりません。
そこでぼくが営業の切り口を変えたのが、
〝鍼灸を通して何がしたいのか〟
これを話すことにしました。
つまり、治療院の〝理念〟を話していったんですね。
ぼくの治療院〝理念〟の場合、
〝鍼灸を通して、
①ミライの健康を創りたい
②介護が必要になっても楽しく暮らせる街を創りたい〟
というところから話すことにしたんです。
そうすると相手は、興味を持って聞いてくれるようになりました。
おそらくですが、切り口をそれに変えることで、相手の頭から「ザ・営業」という印象が省かれて「聞く姿勢」ができたのかなと思います。
ここで大切なのは、人に想いを伝える時、
〝理念(目的)〟 ⇒ 〝手段(方法)〟
この順番で話を進めること。
これすごく大切なことなんですが、
〝手段(方法)〟から話をする人が本当に多いんです。
それだと人はなかなか話を最後まで聞いてくれない。
つまり、人にインスパイア(動機付け)を与える話し方じゃないんですね。
じゃあ、どういった話し方が人にインスパイアを与えるのか。
ここで、
さまざまな分野・業種の専門家を招いた講演会の動画を無料配信しているアメリカの人気サイト「TED.com」で話題となった、サイモン・シネックの著書、『WHYから始めよ!~インスパイア型リーダーはここが違う~』より、著者が提唱した『ゴールデンサークル理論』を紹介します。
![](https://assets.st-note.com/img/1648804310044-Fb3bitx9J8.jpg?width=1200)
上の図を解説していくと、
〝WHY〟=「なぜ、しているのか(理由)」
=「〇〇のためにしている」
=〝理念〟
〝HOW〟=「やり方」
=「手段」
=〝方法〟
〝WHAT〟=「していること」
=「商品・サービス」
=〝鍼灸〟
一般的な営業や広告は、〝WHAT〟や〝HOW〟を全面に押し出してアピールすることが多いですが、それでは人は心を惹かれないんです。
〝WHAT〟や〝HOW〟ではなく、常に〝WHY〟から考え行動に移す。
つまり、ゴールデンサークルでいうところの、中心から外に向かって矢印が出ている行動です。
あなたの話を聞いてくれる人たちは、あなたの〝WHY〟に惹かれ、動機付けられたり賛同したりするんです。
そしてそれは「紹介しやすい」の②つ目、
②人が自分の治療院を「紹介しやすい」にもつながって行きます。
では次に、
②人が自分の治療院を「紹介しやすい」について。
既述したように、自分の治療院を人に紹介する時は〝WHY〟である〝理念〟から伝えること。
そうすることで、
・何のために治療院をやっているのか
・治療院を通して何がしたいのか
この2つを理解して聞いてくれます。
さらに〝理念〟に賛同してくれた人は、知人との会話で「身体の不調」などの話題になった時には、あなたの治療院を真っ先に想い出し、紹介したくなっています。
その際、「鍼灸」のことを話すのに加え、あなたの治療院〝理念〟も一緒に紹介してくれます。
例えば、ぼくの治療院を紹介してくれる場合、
「腰が痛いなら日野さんの治療院に行ってみたら? 鍼とお灸は気持ちいいし、そこの治療院って、介護が必要になっても楽しく暮らせる街創りを目指してるらしいよ。それでね…」
といった具合です。
これはもう、立派な営業マンですよね⁉
ここで大切なのは〝理念〟は、
・できるだけ『一言』で表すこと
・一般人に『身近な言葉』で表すこと
『一言』で表していると覚えやすいし、知人に伝えやすい。
(例に挙げた、ぼくの〝理念〟は少し長いと思ってます(;^_^A)
そして『身近な言葉』の方が、一般の人達に馴染みやすいので、賛同しやすく動機付けされやすい。
このように紹介してくれる人達が増えれば増えるほど、施術に専念できます。
人が自分の治療院のことを紹介しやすく工夫することも、おもてなしの1つですよね。
■協力者・応援者がつく
最後に3つ目、
「協力者・応援者がつく」の解説です。
〝理念〟が定まると、取り組むべき〝手段〟が見えてくる。
それに沿って行動していると、あなたの〝理念〟に「賛同・共感」した人が集まってきます。
そういった方々が、あなたの治療院の「協力者・応援者」となりリピーターとなってくれます。
そこには人間のある心理的欲求が関わっているんです。
ここで、心理的法則である『マズローの法則』を紹介します。
聞いたことがあるかもしれませんが、『マズローの法則』とは、人間の「欲求」には5つの段階があるという心理学理論です。
『マズローの法則』の図を示すと👇
![](https://assets.st-note.com/img/1649204385682-4RIZicF0vN.jpg?width=1200)
上図のように、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されています。
(図は6段階ですが、この説明は後ほど)
人間はまず、ピラミッドの一番下である「生理的欲求」が満たされていることが前提で、次の「安全の欲求」や「社会的欲求」などのより高次な欲求に進むことができます。
「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」については、また改めて解説するとして、今回は割愛します。
上記3欲求が満たされてから現れるのは「承認欲求」や「自己実現欲求」。
「承認欲求」を簡単に解説すると、所属する集団の中で高く評価されたい、自分の能力を認められたいという欲求です。
現在では、SNSで自分の投稿に「いいね!」をつけて欲しいと思う気持ちなんかもそれに該当します。
「承認欲求」が満たされると次に現れるのが「自己実現欲求」。
これは「自分にしかできないことを成し遂げたい」「自分らしく生きていきたい」という欲求を指します。
例えば「鍼灸師になりたい」「開業したい」など、資格取得や起業を目指している方は、この「承認欲求」「自己実現欲求」が色濃く現れるのではないかと思います。
人間の欲求は5段階に区分されると解説してきましたが、さらにもう1段階、高次元な欲求があるとマズローは付け加えています。
それがピラミッドの一番上にある「自己超越欲求」です。
そして、開業してから意識すべきなのがこの「自己超越欲求」なんです。
「自己超越欲求」とは、例えば「社会をより良くしたい」など、
自分のエゴを超えたレベルでの〝理念〟を実現したいという欲求。
「自己実現欲求」と似ていますが、両者は以下のように根本的に異なります。
◆自己実現欲求◆
→理想的な自分になりたい。という、ベクトルが自分へ向いている
◆自己超越欲求◆
→他者や社会など、自分の外にあるものに対する貢献が志向されている
開業してから(開業準備段階においても)必要になってくるのが「自己超越欲求」です。
そしてこの「自己超越欲求」こそが、あなたの治療院〝理念〟です。
「自己超越欲求」=自分の外にあるものに対する貢献 とあるので、治療院の〝理念〟でやりがちなのが、ある特定の症状・疾患に対する表現です。
例えば「肩こり・腰痛に悩む人を無くしたい」
など…
この様な〝理念〟も自分の外にあるものに対する貢献なのですが、多数ある治療院がこのような表現を掲げているように思います。
しかし、このような表現は、
治療院の存在意義としては当たり前のこと。
症状・疾患を改善するというのは〝理念〟でなく〝手段〟。
と言えます。
患者様が協力者・応援者となってくれるのは、上記のような表現のその先にあるあなたの〝理念〟に共感するんです。
そして、患者様にいただいた治療費を、あなたが〝理念〟実現のために使うと掲げていると、患者様の心には、
自分が支払う治療費は、
『症状改善のために使っている』
『さらに、社会貢献のために使っている』
という心理が働きます。
あなたの〝理念〟が「自己超越欲求」であるように、患者様にも「自己超越欲求」があります。
患者様にとっては『症状改善という健康に対する投資』が「自己実現欲求」であるならば、『自分の治療が社会貢献になる』というのがまさに「自己超越欲求」になります。
既述しましたが、「お金」は〝理念〟を実現するための〝手段〟であり、稼ぐ時でなく、使う時に価値が生まれます。
現代人のお金の使い方は「消費」というより「投資」に目が向けられています。
患者様のお金の使い方も同様「投資」なんですね。
言わば、患者様はあなたにお金を「支払う」というより「託す」という気持ちが強くなっているんです。
患者様のその想いが、あなたの治療院の協力者・応援者へと繋がります。
そして、あなたの治療院が『必要とされる治療院』となり、街や社会への貢献へと繋がっていきます。
以上、今回のお話は、『理念があるといい3つのこと』。
・治療院運営の『軸(幹)』となる
・紹介しやすい
・協力者、応援者がつく
でしたー!
あなたの治療院が、患者様のサードプレイスになっていくといいですね!
という私も、日々精進していきたいと思います。
既述した、サイモン・シネックの「TED.com」での講義動画と、著書『WHYから始めよ!~インスパイア型リーダーはここが違う~』をご紹介しておきますね☟
今回は長文になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございます(^^♪
一緒に頑張っていきましょう!