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オトナの名刺交換、子どものおやつ交換

 今日は、ひの社会教育センターの森のようちえんで見受けられる
「おやつ交換」のお話し。実は、ただお菓子を食べているだけではないのではないか…と思っています。


○ひの社会教育センターの森のようちえんって?
 まずは、森のようちえんの説明から。
森のようちえんは、4歳児~小学校2年生までの子どもたちが月に1回、晴れの日も雨の日も雪の日も日野・八王子を拠点にした森で遊びます。今年で11年目を迎える活動です。

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 スタッフが森の中にいつも持っていくのはのこぎりとロープ。それ以外は森にあるものとその日に集まった子どもとスタッフの創造力で遊びます。

 森のようちえんに限らず、ひの社会教育センターの活動は日野市以外の地域にお住まいの方にもご参加いただけます。
ちなみに森のようちえんでは現在、23区・多摩西部・南部と幅広い地域からの参加があります。多くの場合、集まってくる子たちは森のようちえんで「新しいお友達を作り」をすることになります。


○誰も知っている人がいない環境に飛び込む勇気
 誰にでも最初はあるもの。
はじめて森のようちえんに参加する日は、知り合いがいない場所に1人で参加することになります。ドキドキですよね。

 大人に置き換えてみると、何らかのセミナーや集まりに会社を代表して参加するときのようなものではないでしょうか。
あのような場面って一種の緊張感がありますよね。仲良くなれる人ができたらいいなーとは思いつつ、でも自分からは話しかけにくいなぁというあの感情。

子どもたちも、それは同じなようです。
すーっと仲間に入れることもありますし、逆に子どもなので不安な感情が涙で現れたり、「おうちの人と離れたくない」という表現をしてくれる場合もあります。

それでも勇気を出してコミュニティに入ったあとは、すぐにスタッフたちと遊びはじめたり自分の興味がある遊びに入っていきます。「子どもマジック!」とでも呼べばいいでしょうか。

しかし、まだ仲間関係の繋がりは薄く、「連れてこられた場所」の中にいる自分。周りの子どもたちとの会話もあまりなく、いわゆる平行遊びの状態が多いです。

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○おやつの時間
 子どもの発達状況にもよりますが、活動の回数を重ねた子どもたちは必ず「1人で遊ぶより仲間と遊んだほうが楽しい!」という段階に辿りつきます。しかし月に1回しか集まらない仲間なので、仲良くなるにも何かのきっかけが必要だったりするのです。それが今日の本題「おやつ」の効能。

おやつ、誰でも大好きですよね。
子どもたちも、おうちの人が作ってくれたお弁当を美味しく食べたあと、待ってました!といわんばかりにおやつの袋を開けています。ホッとひと息つく時間でもあるようです。

 「今日のおやつは昨日、自分で選んだの」「このお菓子が好き」子どもたちは目の前にあるおやつを見ながら実にいろんなことを話してくれます。子どもにとっては具体物があることも会話をつなげる潤滑油になるようです。自分のおやつを「おいしいね」と言いながらみんなで食べるのも十分楽しいのですが、森のようちえんではさらに楽しさを倍増させる仕組みがあります。

それが「おやつ交換」

おやつ交換3


○「おやつ交換しよう!」「いいよ」
 これは魔法の言葉かもしれません。
お弁当が食べ終わると自分のおやつを片手にお友達のところを周ります。
言い回しは若干子どもによって変わってきますが、この「おやつ交換しよう!」を決まり文句に会話を進めると、これまであまり関わりがなかった子同士にも急に会話が生まれます。
「どれと交換する?」「何味がいい?」

おやつ交換2


ここからは子ども同士のコミュニケーション次第。
大人はその様子を見守ります。
子どもたちに伝えているのは、1つと1つで交換ね。だけです。
(小学生になってくると質や大きさを考えてベビーチョコ5つとクッキー1枚なんてことができるようにもなってきますが、その話はまた今度。)

これまで遊べてなかった気になる子のところへ行ったり、2年生にもなると、あえて自分から初めて参加する下の学年の子へ出向いてくれることもあります。

このプロセスでハッと気づいたのですが、大人の世界に置き換えるとこれって名刺交換と一緒かもしれません。



○おやつ交換が与える効果

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 よく何事に対しても、一つひとつの行動に意味があると言われますが、
おやつ交換には以下のような意味があると私たちは考えています。

・お友達との会話のきっかけ
・コミュニケーションの起点としての意味合い
・おやつ談議を始まりとして仲間に興味が湧く

 おやつ以外のあそびでも上記の内容は達成できるものでもあると思います。しかし、海外ではランチミーティングで契約が決まるなんて話もあります。オトナも子どもたちも、初めて会う人と仲良くなるためには、きっかけになるものが大切だということですね。また食事は、わたしたちにとってエネルギーになるだけでなく、心の栄養をくれるものでもあるでしょう。


○最後に
 新型コロナウイルスの影響により、さまざまなところで制約が生まれている現在。こうした取り組みに思いを巡らせる日々が続いています。ですが、森のようちえんでは、今もおやつ交換は続けています。やめることは簡単なことですが、禁止にすることで失われることも多いとわたしたちは考えました。
感染症を拡大させないように注意しながらも、これまでの活動ができるように、事前のスクリーニングを強化など参加する子ども・保護者の方にもたくさんのご協力をいただきながら取り組んでいます。その結果今とのころは従来通りの実施が続けられています。

今後もその時々の状況を読みながら、子どもたちによりよい体験を届けられるよう、森のようちえん活動を続けていきます。


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