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ひの自然学校流 アウトドアのすゝめ【登山ハイキング読図編②】

 さて、前回は「登山・ハイキングの地図読み」をテーマに、地形図のハウツーを解説させていただきました。今回はそんな地形図と共に使えるようになると格段に安全な登山ができるようになる「登山用コンパス」の使い方、“基本の基”について解説します!
【登山ハイキング読図編①】はこちらから👇

今回もまたマニアックな内容となっていますが、我々が運営している子ども向けの活動における“ディレクターの視点”として一読いただければと思います。



“登山用コンパス”ってなに?

 登山用コンパスは通常のコンパスと違い、地形図と併せて使えるように作られているコンパスです。使いこなせるようになると、目的地までの方角だけでなく、目標物までの距離や現在地の把握まですることができる安全登山には欠かせないアイテムです。

一口にコンパスと言っても様々な種類があります。今回ご紹介するのは、一般的に地形図などと組み合わせて使用する”登山用コンパス”です。

コンパスを使うための準備「磁北線」

 コンパスは登山地図や地形図とコンビで使うものですが、コンパスをより正しく使うためには、地図・地形図に準備が必要になります。その作業が「磁北線を書く」というものです。
そもそも「磁北線」とはなんでしょうか…?
皆さんもご存知かと思いますが、地図上に存在する北は“真北”、コンパスが指す北は“磁北”といわれており、北は北でも2種類あります。(ややこしい!)この“真北”と“磁北”にはごく僅かなズレがあり、これを偏角・偏差と呼びます。地図とコンパスを併用するためには、このズレを予め訂正しておく必要があるため、事前に“磁北線”といわれる線を地図に記入しておくようにしましょう。

【「磁法線」を書く手順】

  1. 偏角度を調べる:国土地理院が出版する地形図には「地形図の基準」欄に偏角度の記載がありますが、その他の地図には偏角度の記載がないため、自身で調べる必要があります。最も簡単な調べ方としては、「地理院地図」を使うのがオススメ。目的の山域を検索し、「ツール」➡「その他」➡「磁北線」をクリックすると、中心部にその山域の偏角度および磁北線が表示されます。

  2. 偏角度をもとに磁北線を記入:分度器があれば、地図上の東側(右辺・右下隅)から7度西側にずれた箇所に印をつけ、右下隅と印の2点を結ぶように線を引くと“磁北線”の完成です!分度器がない場合は、コチラのサイトを参考にしてください!

  3. 磁北線を複数本書く:1本の磁北線だけでも磁北を確認することが可能ですが、3~4cm毎に複数本書いておくとより便利になります。また、複数本書いておくことで、距離感の把握がしやすくなります。(1/25,000の縮尺の地図であれば、4cm毎に線を引くことによって、1kmの距離を把握することができます。)


まずは“整地”から!

 さぁ、いよいよ地形図とコンパスのコラボレーション!
登山口に到着してまずやることは「整地」から。コンパスワークの“きほんのき”です。登山口に立ち、実際の景色と地形図を参照する作業になります。登山口についてそのままの惰性で登り始めるのではなく、登り始めに一度、今日のルートを確認する意味でも必ず整地するように心がけましょう。

【「整地」の手順】

  1. 地形図を広げる:登り始めだけでなく、ルート維持をするために要所で整地をするよう心がけましょう。地形図を広げる時は広く安全なところで、かつ他のビジターの邪魔にならないように意識しましょう。

  2. 磁北と磁北線を合わせる:地形図上にコンパスを用意し、コンパスの指す北“磁北”と地図上に示した“磁北線”が同じ方向になるように地図を回転させます。地図上で一致したら、実際に見ている景色と地形図が一致しているかどうかを確認してみましょう。(例えば、地図上の地図記号通りの建物があるか、方向通りの道が続いているかどうか、等。もし、一致しない場合は、道や現在地を間違えている可能性あり!)


コンパスワークにチャレンジ!「コンパス123」

「登山道を進んでいると道が二股に分かれました。どちらが目的地にたどり着く道でしょうか。」
このようなシチュエーションの時に使えるコンパスワークが「コンパス123(ワンツースリー)」です。現在地の把握が必須になりますが、その名の通り3つの手順を踏まえるだけで目的地への正しい道を教えてくれます。

【「コンパス123」の手順】

  1. 現在地から目的地までのルート上にコンパスの長辺(スケール)を合わせます。

  2. ①の状態のまま、地図上の磁北線と導線(ダイヤル内に書いてあるノースマークのこと)が平行になるように、コンパスのダイヤルを回します。この時、導線の北と磁北線の北(地図の上辺)が合うようにしてください。

  3. コンパスの進行線が自分の身体の前くるように置き、導線と方位磁針が一致するまで身体を回転させます。一致したところで、進行線の先にある道が進むべきルートになります。


 ここでご紹介させていただいたコンパスワークは、ほんのごく一部。地図読み同様、コンパスも使い込めば使い込むほど上達するものです。デジタル化により、様々なデバイスで登山を身近に感じることができるようになっている現代ですが、それでもなお登山中の遭難や事故が増えているのもまた事実。覚えなくてはいけない知識や技術があり敷居を感じてしまう人も多いですが、アナログによるより安全意識を高めた登山もイイと思いますよ!

地図読みもコンパスを併用することで楽しさ倍増!
ひの社会教育センター「Peak-hunt Adventure Club」の活動の一幕。

記事:若泉わか(ひの自然学校サステナブル レスポンシビリティマネージャー)

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