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訪問先:視覚障害児者関連施設IBOS①

『~視覚障害当事者(全盲)Mと、発達障害当事者Sの手と手を取り合った大冒険~』
菊地美由紀

1.概要
 IBOSは150年の歴史ある支援施設。コペンハーゲンを中心とした周辺の自治体から紹介される視覚障害当事者のことはもちろん、グリーンランドをはじめとするデンマークじゅうの支援センターと連携しながら視覚障害児者の教育・福祉を支えている。

IBOS看板

2.日本好きな方々
 お迎えは「こんにちはー」の嵐!教室の屋根も瓦葺!
嬉しかった!
「日本の制度や施設をもっと知りたいと思うのに、英語のページがほとんどないじゃ無い」と、残念そうなバージェット。耳が痛かった。

瓦葺の屋根

3.シュンスコンソレンタ
 20以上の部署がある。
インクルージョンを支える地域巡回型スタッフや 歩行訓練士やソーシャルワーカー、ペタゴーなどが在職。
別紙論文の通り、各サポートにあたるスタッフは皆、シュンスコンソレンタと呼ばれていた。
 入居・通所しながら手工芸品を作り(指先の機能訓練)それらを販売するショップも運営されていた。

ショップの品の様子

4.インクルージョンと施設の融合
 イギリスやイタリアなど、脱盲学校、脱施設化が進み切ってしまった国々とは違い、インクルージョンが進んでいるものの、盲学校や支援施設も残されているところは日本に近いものを感じた。
 働いていない人がいた場合、state benefitという法律上の考えから、社会参加、自立を支援する事は当然であると考えられていた。
IBOSには7人の視覚障害当事者も、職員として雇われていた。

白杖のスタッフと

5.可愛いカンバッジ
butik kikでは、「私は視覚障害者です」と一目でわかってもらえる為の缶バッジやマークを作っている。災害時の避難所や入院中など一目でわかってもらえる!
しかも、見た目も可愛い!

カンバッジ

6. 切れ目のない支援
 デンマークの視覚障害者は、国民500万人に対して、約6万5千人。その多くは高齢になってからの中途失明者が占めている。バージェットが言うには、「どんな人でも無料で手術を受け、入院し、治療を続けられるから若い当事者は少ないとのこと。医療費が無料、確かにこれは大きい!
 デンマークでは、生まれつきひとり1人に番号が割り振られ、かかりつけ医が決められるという。眼科や自治体も連携しながら、切れ目のない支援が行われる。

7.パーソナルアシスタント
 パーソナルアシスタントという制度があり、運転手を担うことのできるヘルパーを自分で雇う事ができるという。その補助は税金から支払われる。消費税25パーセント、所得税38パーセントという大きな政府の力、社会保障大国あっての仕組みであるとは思うが、日本にも是非取り入れて頂きたい!

8.最後に
 目に写る物を丁寧に実況中継し、安全を確保しながら手引きをし、報告用に写真や動画を撮影してくれたSへ、本当にありがとう!


スタッフみんなにプレゼント贈呈

◆論文はこちら!
デンマーク王国の視覚障害教育
https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00027558

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