ひの字

思ったことやつくった話を気まぐれに上げます。

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最近の記事

ブルーピリオド広島編に立った、真田まち子という巨大な鏡

「ブルーピリオド」映画を観てから、最近また再燃している。原作好きなんだよなー。意外と年をとってからの方が刺さる。好きなことを続ける難しさを痛感するからかな。 映画も板垣さんの世田介や秋谷さんの橋田の再現度が凄すぎるのでぜひ観ていただきたい。みんなで続編を待とう。私、八雲役は倉悠貴さんがいいです。お願いします。 注意、こちら15巻までのネタバレを含みます。 いいですか? 14巻はとくに、すごく綺麗な対比の構造だなと思った。 うつしよには八虎と世田介が、そして鏡の中には八雲

    • ※「晴らしや陰陽師」は続きます 次回更新は8/31までに!

      先日掲載した「晴らしや陰陽師」に一瞥くださったかたへ。 記事の最後まで目を通してくださった方がいらっしゃるか分からないのですが、いらっしゃったらまず、申し訳ございませんでした…!!! そして貴重なお時間をいただき本当にありがとうございます。お怒りはごもっともなのですが…どうかそのお時間無駄にはしないよう努力したく思っております…!! やっと肝要なところが書けるで…! と思ったら、7月23日22時49分でした。今夏一番のホラー 締め切りがないと一生人目に触れさせれるほど書きす

      • 晴らしや陰陽師 〜あなたの心、晴らします〜

        (あらすじ)  現代に残る陰陽師。それは人の心の内面世界「隠世(かくりよ)」に入り、孤独な心を解きほぐすことで祓う秘匿された存在である。  晴可(はるか)はある日、謎の国家公務員たちと出会う。 光のさす会議室に、青年の明朗な声が響き渡る。 「——そして私は心理の資格を取りつつ民間企業の経験も積んでおきたいと思い、業界大手の占星術提供社でインターンの経験を積み、現代の陰陽師ともいえるプロ占い師の方々と触れあう機会に恵まれ——」  国家公務員、このご時世に破格の初任給。その

        • 「生きていてよかった」になりたい

          フラワーカンパニーズのこの曲の、このフレーズだけが耳に飛び込んでくるシーズンがあった。 「いいなあ」と思った。「早くこれになりたい」とも。 「生きていてよかった」と言えるということは、「幸せだ」ということだ。いいなあ。あなたは幸せになれたんだ。私もそうなりたい。幸せになりたい、というのは、けっこう皆考えているんだろうことであって、一方で、なんだか失礼なようにも感じる。失礼というのは、今、自分を取り囲んでいる、取り囲んでくれている全てに対して。だってそれは、「今幸せじゃない、今

          「私をくいとめて」を観た男子学生と同人作家

          映画の感想を架空の三人組が話し合う創作話だ。気が狂っとるのでしっぽ巻いて逃げよう。 「嫌だからな」 「やっ、お願いお願いお願い」 「鬱陶しい……なおさら行きたくない……」 「家賃かかってんのよ!」 「何。映画行ったらお金もらえんの?」 「そっ。映画代とー、報酬が」 「誰だよ依頼主」 嫌な予感がする。 「姉ちゃん!」 大当たり。 長い溜息をついた。そもそも「私をくいとめて」なんていかにもOLが好みそうな映画、こいつが関心を持つわけがない。のんは好きだったと

          「私をくいとめて」を観た男子学生と同人作家

          薔薇の黄昏

          形容するならそれは、絶望に他ならない。 感情の見えないうめき声、身の毛もよだつような殺戮の音、金や紫の毒々しい黄昏。深い霧の中に、今日もあの影は現れる。 ただひとつの悲しみを背負って、腐乱してなお動くそれはいつものように、墓石の前に立つ。 ✤ 眩しいほどにあたたかい陽光の中、逞しくなった彼の背中に声をかけた。雨の中、今にも消えてしまいそうに震えていた姿からは想像もつかない。 「相変わらず花の似合わない男だ」 振り返った顔には、いつも通り泥がついていた。屈むように促し

          薔薇の黄昏

          日本人は言った。「にほん? なんかよく言ってるよね。分からない、知らない、興味無い」

          ああこのタイトル意味わからん。でもこの意味わからん文が現実だと思う。今の。 今回の選挙も投票率が低かったらしい。詳しくは知らないけど。 ネットでは、もうめちゃくちゃ、毎日みない日はないくらい「選挙行こう」の文字が踊っていた。今回はいけんじゃないか、さすがに投票率上がってるんじゃないのって思っていた。 上がらなかったね。行かなかったんだね皆。 もちろん、「選挙行こう」が効かなかったはずはないだろう。こっそり、忙しいからいっかな〜と思っていた人も、行こうと決めるきっかけになっ

          日本人は言った。「にほん? なんかよく言ってるよね。分からない、知らない、興味無い」

          「エモい」は入れ物

          空前の「エモい」大流行。 めちゃめちゃ便利な言葉だ。感動的だったり感傷的だったり叙情的だったりする出来事に対する感情を「エモい」の一言で表現出来る。そのシステム自体は、私はそこそこ好きだ。 この間、ひとつの演劇をつくった。学生の小劇場演劇なのでほとんど身内しか見にこない。卒業公演なのでこれまでの思い出とか互いへの思いとかたくさん詰め込んだ。作っている私達もそれを「エモい」と思っていたし、見に来てくれた人もたくさん「エモい」と言ってくれた。私はそれは素直に嬉しかったし、どこか

          「エモい」は入れ物

          知らないと大恥!? 正しい巨大ハンバーガーの食べ方

          よくあるアフィリエイト記事みたいなタイトルだなぁ。さっき引っかかったばかりなのでうつったかも知れない。 家でずっと文章を書いていたらものぐるほしけれになったので、近所のアメリカンキッチン(とでもいうのか)が閉店するらしいし、入ってみた。 全く都会ではない日本の地方都市に、なぜかあったのである。アメリカンキッチン。 数年前に食べたローストビーフ丼がメニューにない。しかも人気らしいオムライスを見つめていたらお兄さんが慌てて「あ、オムライスは具材足りなくなりました」と声をかけて

          知らないと大恥!? 正しい巨大ハンバーガーの食べ方

          あたらしいを武器にして

          明けましておめでとうございます。 ソシャゲに初めて課金をしておいたのでその分のガチャを回して、思ったほどの成果はなく、とりあえずパソコンに向かって作業をして、まあ停滞していて、そう、停滞した正月を過ごしています。本当はこんなことをしている場合じゃないのにと思いながら停滞をすることばかりとても得意です。 祖父が日記を買いに行くというので、確かに日記を始めるのにも今日はうってつけなのかと思い、私もついて行きました、買うつもりで。祖父が買ってくれましたが。ありがたや〜。 ちな

          あたらしいを武器にして

          好き、を、デザイン

          私たちは、「好き」という気持ちをちょっとずつ加工して生きてるんじゃないかと思う時がある。 よく言うよね、ぶりっこと言われる女子がゆめかわなもの好きなのってあれかわいく見られるためのポーズじゃないかとか。 私は、全てのそれがポーズだとは思わない。中にはいるかも知れないけど、ゼロだとは断言しないでおくけど。 多分、本音として惹き付けられるものはあるのだ。ただそこに、「これを好きだと明示すると自分に得がある」という意図が少し混じる場合があるだけで。 自分に得がある、というのは、

          好き、を、デザイン

          「僕たちは大人になれてしまった」

          燃え殻さんの本を読みました。 というタイトルのノートを、私の周りの人たちが同時期に、互いに知り合いでもないのに投稿していた。 燃え殻というのを名前に持ってくる辺り、ニヒルな自嘲や世界への何ともない諦め(かつては期待とかもろもろに燃えていた)が伝わってくる、あ、私には。 私が初めて「燃え殻」と「僕たちはみんな大人になれなかった」のセットに出会ったのは、夜の高速を走る家族の車の中で、ラジオを何ともなしに聞いていた時だった。 夜のラジオから得られる情報は、何故だか、誰も

          「僕たちは大人になれてしまった」

          「ヴェノム」を観た二人

          「え。何これ、パニックホラー? 」  ポスターを見た麻谷の第一声がそれだった。俺は苦笑して首を振る。 「いや、ヒーローもの。マーベル。お前好きそうだろ」  好きそうって、と眉間に皺を寄せて色素の薄い髪をかき混ぜてから、彼は頷いた。 「んー、いいよ。じゃあこれ観よ」  授業終わりに寄った映画館は、にわかに混んでいた。麻谷がポップコーンを買うと言うので列から離れると、ファンタスティックビーストの2作目の入場列が長く伸びているのが目に入った。まあ、今観るならこれなのかもな

          「ヴェノム」を観た二人

          不意を打たれたい

          私なりの優しさを、発信し続けていたい。 あなたの優しさが自分の糧になったと、だれかから言われなくてもいい。でも言われたら嬉しい。 それが私の狙った形と違っていてもいい。それが誰かの何かになったならそれ以上のことはない。 あなたのそれが自分のこれになったよ、と、だれかから言ってもらえるのを、私は多分ずっと、いつも待っている。 どんなことでもいい。いつだっていい。私が死んでからでもいい、かもしれない。 出来れば、思ってもみなかった時に、思ってもみなかった形で、告げられたい。

          不意を打たれたい

          さっきスーパーの前で、「お腹空いた! あの、お菓子ひとつ開けません? お願いします!」って女の人が懇願してて、男の人が「どれ開ける?」って優しい声で答えてるのが、音だけ聞こえた。惹かれた理由はたくさん、まだ言葉に出来てないのもいくつかあるけど、すごく好きなやりとりだと思った。

          さっきスーパーの前で、「お腹空いた! あの、お菓子ひとつ開けません? お願いします!」って女の人が懇願してて、男の人が「どれ開ける?」って優しい声で答えてるのが、音だけ聞こえた。惹かれた理由はたくさん、まだ言葉に出来てないのもいくつかあるけど、すごく好きなやりとりだと思った。

          フラペチーノがむつかしい

          サブカルチャーの意味が未だに100%は分かっていないんだけど、なんかそういう類のものに近しい1日だった。 論文に必要なインタビューをして、予約していた小劇場の作品を観た。 しんどくなってしんどくなってどうしようもなくってふらっと道を踏み外して、もう笑うしかないですみたいな、そんな劇だった。いやホントのところは知らないんだけど、あさはかな私はそう受け取った。これに出てる役者さん達はこれまでどんなふうに生きてきて、これからどんな人生を送っていくんだろうと純粋に興味を持った。

          フラペチーノがむつかしい