百物語78話目「エレベーター対決」(実話怪談)
事故物件ってふたつの意味があるの知ってる?
人が死んだのと強盗に入られたののふたつ。で、同じ条件なら、人は強盗に入られた部屋を避ける。だって、実際に危ない要素があるってことだからね。泥棒に目をつけられる要素ってあるんだよ。だから、そこは避けるってのは論理的だと思う。
これは似た話かもしれない。
今日、お昼にランチをした高校の後輩は、つのだじろ先生も担当したことがあるディレクターさん。
美味しいハンバーガーを食べながら、怖い話はないかと聞くと、近所に億ションの走りのようなビルがあったけど、そこは元刑場で、見える人が見ると、もりもり霊体がいるらしい。
特にエレベーターが悪くて、長い髪の毛が扉にべっとり張り付いていたこともあるそう。
その話を聞いたとき、私はあることを思い出した。
修羅の国の話だ。
広告代理店で働いていたとき、クライアントさんのビルにいったんだけど、そこのエレベーターに乗ったときに、先輩が言った。
「ここさ。前、やくざの親分が住んでてさ。エレベーターに乗ってるときに刺されたんだよね。で、このエレベーターが壁から天井から血の海になってさあ」
前者と後者、どっちが怖い?
私は住むなら、億ションうんぬんよりも、身の安全のために前者がいいなあと思った。
まあ、修羅の国あるあるなだけどね。
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