百物語94話目「末代バー」(実話怪談)
呪われた人というのはいる。
残念ながら、呪われているのもわかって、霊能者を頼っても助けられないと言われ、結局亡くなった人を知っている。
その人のせいじゃないのに――。
先祖の行いのせいで、呪われて、結局、彼は死に、その一族は死に絶えた。
最後に、生きてると見まごう姿で、かつての職場に現れたそうだ。
そう同じ職場で働いていた人から聞いた。
まったく普通の人間に見えたけど、同じ時間、彼は病院で危篤状態になっていたので生きている体とは違う。
オカルト好きなら「七代先まで呪ってやる」というのが、ひとつの決まり文句のようになっているのを知っているだろう。
ちなみに一代目を100パーセントの呪いとして、次代ごとに2分の1ずつにしていくやん。二代目で50パーセントの呪い、三代目で25パーセントの呪い……すると7代目でちょうど100パーセントの1を切るんだよね。
「そっか、七代ってそういう意味か!」
と妙に納得した。
その昔、呪いの最上級のものは一族を絶やすものだった。
だから、子どもができないで死ぬというのは最大の呪いだったわけだ。
「お前を末代にしてやろう」
という言葉ほど怖いものはなかったわけ。
ところが、今はどうだろう?
別に子どもを作るも作らないも自由だ。
家が絶えたところで、それがそんなに悪いこととも思わない。
大好きな寺尾玲子さんの実話怪談漫画シリーズにも、そういう話が出てきて、大変感銘を受けた。
呪われた一族の最後の母娘になったふたり。
呪いは完遂している。
けれど、その母娘は決して不幸ではない。
幸せの価値基準が違うからだ。
娘は立派に働き、結婚はしてないものの、友達に恵まれ、母親と一緒にのんびりと暮らしている。
呪いさえ、時代で変わっていくのだ。
さて、この話を例の獅子頭くんがいる行きつけのバーで話したとき、
カウンターに並んで座っていた常連客たちが、次々と
「あ、俺も末代」
「私も末代」
「僕も末代」
と末代宣言をしていった。
でも、みんな愉快で楽しそうに今夜も飲んでいる。
福岡に来たら、ぜひ末代バーへお寄りください。
あなたも楽しく末代の仲間入りをしましょう。
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