若おかみは小学生!で泣けなかった
※追記あり
ツイッターなどで静かなブームとなっている「若おかみは小学生!」を見てきました。
――どうしよう。そんなに泣けなかったよ。
「君の名は」とか「この世界の片隅に」は顎がバカになるくらい、がくがくしながら泣いたのに。
ちょっと泣けたくらいだった。
さて冒頭「静かな」というのは、私が見に行くというと友達が称した言葉です。
そう、「爆発的な」ではなくて「静かな」なんだなあ。
昨日の映画のランキングでも10位には、私も見に行った「カメラを止めるな」がまだ入ってた。
あれは文句なしに面白かった!
だいぶ前に見に行ったけど、あれから拡大延長して上映し続けられている。それに足る映画だと思う。
が「若おかみ~」はすでに福岡市内では上映してなかった。
後は車で行かないといけないような遠いところでしかやってない。その中でも駅近い春日原の映画館まで2時間近くかけて見にいってきたのです。
ただ19日に上映終了予定が少し伸びてた気がする。最初最終日のつもりで行った。
すると、観客はふたりだった。
な、なぜか?
たぶん、福岡が修羅の国だからなんだろうなあ~。
最大の泣きどころで、カタルシスが起きなかったのよ。
「この世界の~」では、最後にぶわーっと押し寄せて爆発して泣いた。ラストに向かってすべてが集約していったからね。
「このために片腕をなくしたのか!」って!!!
「こりゃあ、異例のロングランヒットになるわ!」大納得だった!
「君の名は」は、高台に逃がす様子が完全に大震災の避難のときと重なったて、ボロボロ泣いた。
※追記:断然「シン・ゴジラ」派だった私が白旗をあげたよ。「君の名は」はそれほど感動しなかったという人が結構まわりにいた。でも昔から言う。アンチがいるほど、それだけ人気があると。その点でも「君の名は」はすごかった。
が、「若おかみ」では「またひとりになっちゃう!」で、「え、ひとりじゃないよね。おばあちゃんいるし、旅館の人いるし、友達いるし、ピンフリいるじゃん」となってしまったのね。
両親を事故で一度に亡くしているという悲劇性にポイントがあるんだけど、前提、とてもいい両親じゃん。
いい両親だから、亡くなってしまって悲しいけど、おばあちゃんだっていい人じゃん。
もっと過酷な環境の人いるのに。
親が早く死んでくれないかなあって心から願う人もいるのに、そうじゃない親を持ってラッキー。養護施設に行かなくてラッキー。
親が死んだどころか、親から殺されかけた人だっている。
親を殺さないと、自分が殺される窮地に立たされた人もいる。
そういう立場の人間を間近で見てきている人間からすると「全然ましな環境だし、全然ひとりじゃないよ。国に見捨てられたって感じでもないし」というレベルで見てしまうのよ。
だから、単純に私には向かない映画だったと思う。
あと、細かいところを心配して、それが気になってしまった。
・客からそんな豪華なプレゼントもらっていいの?
・店の料理のつまみ食いの汚名をきせられていいの?それやる子って、相当イメージ悪いよ。
・ピンフリの個性を非難するのも、ちょっと……。むしろ、どんな格好したっていいじゃないって、かばって欲しかった気がする。
・うり坊が完全にばあちゃんだけのことを考えて、おっこに旅館跡継ぎをすすめるのも、どうかと……。
・うり坊が最後までばあちゃん第一主義だったような気がして。おっこのことそのものを考えてますってところが欲しかったし。その切り替えのシーンが(なかったかもしれないけど)欲しかったし。
・なにより最初にうり坊がおっこをだけを救ったときに、おっこは「どうして私も一緒に死なせてくれなかったの?」って思わなかったんだろうか?というのも気になった。
両親側からしても、おっこをひとり残していくところに悲劇性があるのかもしれないけど、親の立場からすると、安心して任せられるばあちゃんちがあるし、生き残ってくれたことが何よりも嬉しい。
少なくとも悲惨な場所に預けられずに済んでる。(里親から性的虐待を受けるような場所じゃないしさ)
ここらへんは、私の感覚がズレてるのかもしれないけど――。
クリミナルマインドという海外ドラマが大好きなんだけど、その中で主要メンバーの妻が殺される回がある。大変悲劇的な回なんだけど、子供は連携プレーで殺されずに済んだ。
子供を殺されなかった、死なせなかったというのは、親にとってはまず勝利なんだよなあ。
だから、この回を見終わったときに、「かわいそう!」よりも「よかった」と、ほっとした。
そういう感覚の持ち主なので、単純にこの映画には向かなかったんだろうという話でした。