見出し画像

Vol.23 不正競争防止法に関して「INPIT 知財総合支援窓口」へ相談

2019年5月24日、金融庁が発令した業務改善命令によって明らかとなった西武信金の不適切(不法?)な融資。


<業務改善命令>
第2.処分の理由

当局による立入検査の結果や信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第24条第1項に基づき求めた報告を検証(注)したところ、金庫は業績優先の営業を推進するあまり、内部管理態勢の整備を怠った結果、以下のような問題が認められた。

(1)投資用不動産向けの融資にあたり、形式的な審査にとどまり、不適切な信用リスク管理態勢となっている。

i. 融資実行を優先するあまり、融資審査にあたり、投資目的の賃貸用不動産向け融資案件を持ち込む業者による融資関係資料の偽装・改ざんを金庫職員が看過している事例が多数認められる。

ii. 投資目的の賃貸用不動産向け融資について、融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠である中、経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為が多数認められる。

https://lfb.mof.go.jp/kantou/rizai/pagekthp027000005.html


さらに、業務改善命令が発令された同日、西武信用金庫から以下の発表がありました。


(注)なお、現状当金庫で把握している計数等は以下のとおりです。
○ 投資目的の賃貸用不動産向け貸出案件を持ち込む業者による融資関係書類の偽装・改ざんを当金庫職員が看過してしまった可能性が高い件数
当金庫の認識では127 件です。そのうち、当金庫が、債務者と面談して調査した結果、何らかの偽装等があったと認められる件数が73 件ございました。その他については、引き続き確認を実施してまいります。

○ 経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、当金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為と思われる件数
現存する18 か月間のメールでのやりとりからは258 物件あると確認しています。この期間内の同書面の数との比較では約1 割に相当します。


要するに西武信用金庫自ら不正を認めているのです。


この不適切な行為の問題は


  • 融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠であるとされていた

  • 経済的耐用年数を用いた築古物件への融資は、国交省や不動産鑑定士協会もバックアップしていた

  • しかし、ある時期から金庫職員が外部専門家に対して耐用年数や修繕費用等を指示・示唆していた

  • 結果として担保価値に見合わない過剰な融資を反復的に実行していた

  • この不適切な融資を受けた債務者は融資を受けた時点で債務超過で出口なし


私はこの不適切な融資の被害者の一人であると確信し、その被害の回復を求めて活動しています。




金融庁に対して情報開示請求を行うのと平行して、不正の共謀者である不動産の専門家(私のケースでは不動産鑑定士)への追求を行うために自分は何ができるか?を考えてみました。

今回の事例において、多くの方がまず最初に頭に浮かぶのは「詐欺」でしょう。ただ、一口に詐欺と言っても民事の詐欺と刑事の詐欺(詐欺罪)の2つがあります。そしてそのどちらにおいても成立要件の立証が異常なほど難しいのです。
簡単に言えば、詐欺とは騙されて金品を取られること。しかし、この手の不正融資においては対価の報酬として不動産が手元に残ってしまいます。
不動産には定価がなく、売り手を買い手の間で合意すればいくらであろうと売買が成立します。時価1,000円の土地を1,000,000円で売買しても両者合意の上であれば何ら問題はないのです。
現実問題として、不正融資において金融機関を相手取り詐欺による損害賠償請求、または詐欺罪による刑事告訴はほぼ不可能でしょう。
私も何度かトライしてみましたが、弁護士、警察ともに門前払いでした。
相手は百戦錬磨の金融機関、自ら不利になるような売買契約書など作るはずがなく、あくまでも両者合意による正当な取引であったことを契約書で立証してきます。
実際、スルガにしてもアルヒ・アプラスにしても詐欺(詐欺罪)による裁判は1件も行われていないと思います。

今回、私が対象としているのは金融機関ではなく不動産鑑定士。対価の報酬として不動産鑑定書があるため、いくらその内容がインチキだったとしても、それだけで詐欺(詐欺罪)を主張するには無理がありました。


では他になにがあるのか?色々調べた結果、刑事罰もある

不正競争防止法

これならハマるのではないか?と考えさらに深掘りしてみました。



国家資格である不動産鑑定士。そして法律により不動産鑑定士にしかできない業務とされている不動産鑑定。そこに不正があったとするならば不正競争防止法違反


⑧品質誤認惹起行為(20号)


に該当するのでないか?と考えました。


不正競争防止法

(定義)
第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。

二十 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為

(罰則)
第二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは二千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

九 不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、自己又は他人の第二号若しくは第四号から前号まで又は第三項第三号の罪に当たる行為(技術上の秘密を使用する行為に限る。以下この号及び次条第一項第二号において「違法使用行為」という。)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供した者(当該物が違法使用行為により生じた物であることの情を知らないで譲り受け、当該物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供した者を除く。)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=405AC0000000047



その裏付けを取るべく、いくつかの相談窓口に連絡したところ、どこだかは覚えていませんがそのひとつから

「不正競争防止法は経産省の管轄。であれば知財総合支援窓口で対応してもらるのではないか?」

との回答をもらいました。
知財総合支援窓口?なにそれおいしいの?
見たことも聞いたこともない単語なので早速調べてみたところ、、、



サイトを見る限り、無料で様々な相談ができるようです。ただ、この件は利用方法としてちょっと違う気もします。それでもダメ元と思って問い合わせてみると


「不正競争防止法の法的用件を満たすかの確認ですね?大丈夫ですよ」


ということで2020年9月、アポを取って早速利用してみました。
ただ、最初のアポでは弁理士しか予約が取れず。弁理士だってそれなりの専門家なのですがそこはやっぱり弁護士の意見も聞きたい。ということで結局2回利用してきました。
その結果、お二方ともに


品質誤認惹起行為と認定できる
(私の説明を聞いた聞いた限り、及び私の手元にある資料を見た限りにおいてという条件付)


「出るところに出れば戦える」
この裏付けが取れたことは、少なくても私のメンタルを維持することにおいては大きな効果がありました。
ただ、いくら専門家のお墨付きを得ても、それをもって刑事告訴・告発したところで警察が受理を拒むことは容易に想像できます。警察は、知能犯的な犯罪に対する被害届や告訴・告発の受理にはとても後ろ向きなのです。過去の経験上「そんな相談があったことは記録しておきます」まででしょう。
このような詐欺的な事案よりも店舗でお菓子の万引きに対する取り締まりのほうがよっぽど積極的なのです。その理由は被害者と加害者、そして刑法に違反している事実がその場で明らかだからです。

警察に受理させるにはもっと事実の積み重ねが必要だと考え、この時点ではまだ動かないことにしました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?