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Vol.13 処分を求めて国交省に措置要求を提出

2019年5月24日、金融庁が発令した業務改善命令によって明らかとなった西武信金の不適切(不法?)な融資。


<業務改善命令>
第2.処分の理由

当局による立入検査の結果や信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第24条第1項に基づき求めた報告を検証(注)したところ、金庫は業績優先の営業を推進するあまり、内部管理態勢の整備を怠った結果、以下のような問題が認められた。

(1)投資用不動産向けの融資にあたり、形式的な審査にとどまり、不適切な信用リスク管理態勢となっている。

i. 融資実行を優先するあまり、融資審査にあたり、投資目的の賃貸用不動産向け融資案件を持ち込む業者による融資関係資料の偽装・改ざんを金庫職員が看過している事例が多数認められる。

ii. 投資目的の賃貸用不動産向け融資について、融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠である中、経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為が多数認められる。

https://lfb.mof.go.jp/kantou/rizai/pagekthp027000005.html


さらに、業務改善命令が発令された同日、西武信用金庫から以下の発表がありました。


(注)なお、現状当金庫で把握している計数等は以下のとおりです。
○ 投資目的の賃貸用不動産向け貸出案件を持ち込む業者による融資関係書類の偽装・改ざんを当金庫職員が看過してしまった可能性が高い件数
当金庫の認識では127 件です。そのうち、当金庫が、債務者と面談して調査した結果、何らかの偽装等があったと認められる件数が73 件ございました。その他については、引き続き確認を実施してまいります。

○ 経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、当金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為と思われる件数
現存する18 か月間のメールでのやりとりからは258 物件あると確認しています。この期間内の同書面の数との比較では約1 割に相当します。


要するに西武信用金庫自ら不正を認めているのです。


この不適切な行為の問題は


  • 融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠であるとされていた

  • 経済的耐用年数を用いた築古物件への融資は、国交省や不動産鑑定士協会もバックアップしていた

  • しかし、ある時期から金庫職員が外部専門家に対して耐用年数や修繕費用等を指示・示唆していた

  • 結果として担保価値に見合わない過剰な融資を反復的に実行していた

  • この不適切な融資を受けた債務者は融資を受けた時点で債務超過で出口なし


私はこの不適切な融資の被害者の一人であると確信し、その被害の回復を求めて活動しています。




不動産の鑑定評価に関する法律

納税したことにより直近での自己破産や個人設定の可能性がなくなった私は、それまで並行で進めていた行動をより加速させました。そのひとつが、西武信金の不正に確信的に共謀した(としか思えない)不動産鑑定士の処分。
それなりの難関国家資格である不動産鑑定士は、その業務に従事するにあたっては法律によって定められていることが多数あります。



以下は一部抜粋です。


(不動産鑑定士の業務)
第三条 不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を行う。
2 不動産鑑定士は、不動産鑑定士の名称を用いて、不動産の客観的価値に作用する諸要因に関して調査若しくは分析を行い、又は不動産の利用、取引若しくは投資に関する相談に応じることを業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。

(不動産鑑定士の責務)
第五条 不動産鑑定士は、良心に従い、誠実に第三条に規定する業務(以下「鑑定評価等業務」という。)を行うとともに、不動産鑑定士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

(知識及び技能の維持向上)
第七条 不動産鑑定士は、鑑定評価等業務に必要な知識及び技能の維持向上に努めなければならない。

(鑑定評価書等)
第三十九条 不動産鑑定業者は、不動産の鑑定評価の依頼者に、鑑定評価額その他国土交通省令で定める事項を記載した鑑定評価書を交付しなければならない。
2 鑑定評価書には、その不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士がその資格を表示して署名しなければならない。
3 不動産鑑定業者は、国土交通省令で定めるところにより、鑑定評価書の写しその他の書類を保存しなければならない。

(不当な鑑定評価等についての懲戒処分)
第四十条 国土交通大臣は、不動産鑑定士が、故意に、不当な不動産の鑑定評価その他鑑定評価等業務に関する不正又は著しく不当な行為(以下「不当な鑑定評価等」という。)を行つたときは、懲戒処分として、一年以内の期間を定めて鑑定評価等業務を行うことを禁止し、又はその不動産鑑定士の登録を消除することができる。不動産鑑定士が、第六条又は第三十三条の規定に違反したときも、同様とする。
2 国土交通大臣は、不動産鑑定士が、相当の注意を怠り、不当な鑑定評価等を行つたときは、懲戒処分として、戒告を与え、又は一年以内の期間を定めて鑑定評価等業務を行うことを禁止することができる。
3 国土交通大臣は、不動産鑑定士が、前二項の規定による禁止の処分に違反したときは、その不動産鑑定士の登録を消除することができる。

(不動産鑑定業者に対する監督処分)
第四十一条 国土交通大臣又は都道府県知事は、その登録を受けた不動産鑑定業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その不動産鑑定業者に対し、戒告を与え、一年以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又はその登録を消除することができる。
一 この法律又はこの法律に基づく国土交通大臣若しくは都道府県知事の処分に違反したとき。
二 不動産鑑定業者の業務に従事する不動産鑑定士が、前条の規定による処分を受けた場合において、その不動産鑑定業者の責めに帰すべき理由があるとき。

(不当な鑑定評価等に対する措置の要求)
第四十二条 不動産鑑定士が不当な鑑定評価等を行つたことを疑うに足りる事実があるときは、何人も、国土交通大臣又は当該不動産鑑定士がその業務に従事する不動産鑑定業者が登録を受けた都道府県知事に対し、資料を添えてその事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=338AC0000000152


不正に関与した(と思われる)不動産鑑定士から私が受領した3物件に対する不動産鑑定意見書は、2019年7月時点において業務改善命令の内容と一致する不正の唯一の証拠でした。逆に言えば、この時点でこの証拠以外は「全て想像」であり、この証拠だけをもって西武信金を相手に戦うことには無理があると感じていました。


措置要求の提出

私の物件に対する不動産鑑定意見書を作成した不動産鑑定士は


「故意に、不当な不動産の鑑定評価その他鑑定評価等業務に関する不正又は著しく不当な行為(以下「不当な鑑定評価等」という。)を行つた」


として、2019年8月、法律に則りこの不動産鑑定士に対する処分を求める措置要求を国交省に提出しました。
その不正内容とは


依頼者が依頼していない「費用を投下した修繕後の将来時点」の鑑定評価を勝手に行った


そもそも不動産鑑定評価は鑑定を行った時点での評価が大原則であり、将来時点での鑑定評価は原則禁止されていました。しかし、2014年(たぶん)に不動産鑑定評価基準が改定され、条件付きで将来時点での鑑定も可能となったのです。
ただし将来時点での鑑定評価にはいくつかの条件がありました。そのうちのひとつが「資金繰り」。
例えば、現時点では廃墟となっている不動産でも1億円の修繕費用をかけたあとであればそれなりの価値が生まれます。しかしそのためには「1億円かけられること」が大前提となります。すなわち、将来時点での鑑定評価を行うためにはその資金があることの確認が求められていたのです。
私が受領した3物件の不動産鑑定は全て「修繕後の将来時点」でのものでした。そこにはそれぞれ修繕費用や修繕計画も記載されていましたが、私はその説明を一切聞いていませんでしたし、その費用を捻出することも不可能だったのです。
これは明らかな不法行為であるとして処分を求めたわけです。


措置要求の結果

原則、措置要求の審査は非公開です。結果が出て処分された場合には国交省のサイトに掲載されます。



私が措置要求を提出したのは2019年8月。対して現時点までにこの不動産鑑定士がこのページに記載されたことはありません。
まあ、行政のやることなんてこんなもんだとは思っていますが。

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