Vol.3 不正融資の最大の問題は出口を塞がれたこと
限られた担保価値しかない不動産に対してまるで十分な担保価値があるとする不正な資料を不動産の専門家に作成させることにより過剰な不正融資を反復的に行ってきた西武信用金庫。私はその不正の被害者の一人であるとして不正の加害者である両者を追求し続けています。
この不正の最大の問題は
出口(売却先)がないこと
収益不動産を保有、運営することを事業としていた私にとって出口戦略は非常に重要なことなのです。
私は決して短期売買によるキャピタルゲインを目指しているわけではなく、原則長期保有によるインカムゲインを収益の柱にしています。それでも不動産の建物部分は有機物である以上いつかは朽ちてしまいます。修繕して運用しつつも適度なタイミングで売却、資産の入れ替えを行いながら事業を拡大していく、そんなやり方で事業を進めてきました。
売却の際には当然キャピタルゲインも目指しますが、最低最悪でもマイナスにならないこともとても重要です。大きなマイナスでしか売却できないとなると売ろうにも売れず保有し続けるしかありません。保有している間の収支がトントン以上ならまだ踏ん張ることもできますが収支もマイナスでは保有していること自体が罰ゲームのようなものです。
早急にまとまった現金が必要となった2018年夏頃。先に保有していた小ぶりの収益物件を売却すべく共同担保を外して欲しいと西武信用金庫に依頼したものの交渉の余地は皆無でした。
次の手として他の金融機関に借り換えを試みるも門前払い。それどころか
あなたの持っている不動産鑑定評価なんて紙くず同然ですよ
と言われたに等しい結果から西武信用金庫に対して疑念を抱くようになっていました。
とは言え、当時まだ西武信用金庫に不正があったと証明できるものは皆無であり、この時点でそれ以上のことができる環境ではありませんでした。
そこで思いついた最後の手段、それは
購入した物件自体を売却
購入してからまだ半年足らずでしたが、とにかく取れる手段はそれしか残されていませんでした。
この物件を売却して融資が完済できれば同時に共同担保も外れる、そうなれば共同担保の売却も自由に行える、共同担保が売れれば資金繰りの目処もつく、そんなストーリーを描いていました。
既にこの物件に対して多額の修繕費用を投下していましたが、その費用回収までは無理と諦め、とにかく完済することだけを目指して売価を設定、売却活動をスタートさせました。しかし、築古物件を高額が買う買い手などそう簡単には見つかりません。
以前にも書いたとおり、一般的な金融機関の場合、不動産購入資金の返済期間は
法定耐用年数(金融機関によっては掛け目あり)-築年数
です。
当該物件は鉄骨造なのですが、築年数は40年超えで既に法定耐用年数を超えていました。法定耐用年数を超えている場合、返済期間は4年程度の短期でしか設定できないのが一般的、しかし「6,500万円の融資を4年で返済」では収支が回らないことは明らかです。
経済的耐用年数を用いて築古物件にも積極的に融資を行う金融機関など西武信用金庫以外にはほとんど存在していなかったため、この物件に融資を引いて買うことを検討する人など皆無に等しい状態でした。
となると買える人は手元のキャッシュが潤沢である人。でもそんな人は当然のように足元を見てきますので私の売却希望価格の半額ぐらいに指値をしてきます。私が逆の立場でもそうします。
しかし私の売却目的は
債務完済 → 共同担保外し → 共同担保の売却 → 支払いに充当
これが達成できないのであれば売却する意味すらなくなってしまいます。この負のループこそが出口が塞がれた結果なのです。
そもそも私が物件を売却せざるを得なくなった資金繰りの問題に関しては、売却活動を継続していることを理由に支払いをしばらく待ってもらうことができました。
しかし、こんな状況から実際には売却もままならず、にっちもさっちもいかない状態がズルズルと2019年春まで続いていました。でもそのズルズルのおかげで次にステップに踏み出せたとも言えます。
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