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Vol.5 西武信用金庫の発表

2019年5月24日に業務改善命令を受けた同日、西武信用金庫からも業務改善命令に関する発表がありました。
その発表資料は既に西武信金のサイトから消えてしまっていますが、私がダウンロードしておいたものがありますのでこちらにアップしておきます。




この中から一部を抜粋し私なりのコメントを付記します。



3. 今後における当金庫の対応について
上記命令を真摯に受け止め、実効性のある改善計画を策定し、これを着実に遂行することにより、内部統制の強化、信用リスク管理態勢の強化、反社会的勢力等の排除に向けた管理態勢の抜本的な見直しを図ってまいります。


一貫して「この不正による被害者の救済」は一切触れらていません。


4. 改善に向けた施策等について
外部有識者をスーパーバイザーとした「業務改善委員会」において、本件事態に至った原因究明を踏まえた抜本的改善策について検討し、令和元年6月28 日までに業務改善計画を策定し、新たな体制により、同計画を着実に実行してまいります。


確かに2019年6月28日に業務改善計画は提出されましたがそれに関してはまた後日。


(1)責任の所在の明確化
本日開催の理事会にて、代表理事2名と常勤理事1名が辞任し、理事長に髙橋一朗、専務理事に半澤佳宏が就任いたしました。また、以下の通り役員報酬を減額いたします。
理事長 月額報酬の30%(3ヶ月) 専務理事 月額報酬の20%(3ヶ月)
常務理事 月額報酬の15%(3ヶ月) 常勤理事 月額報酬の10%(3ヶ月)
非常勤理事 月額報酬の10%(1ヶ月) 常勤監事 月額報酬の10%(3ヶ月)
非常勤監事 月額報酬の10%(1ヶ月)


旧理事長の側近が理事長に就任したことがどうして再発防止になるのか?甚だ疑問です。
金融庁は「旧理事長の首を取った」ことでこの事案を手打ちにした感は否めません。


(2)内部統制の強化
実効的な牽制体制を構築し、内部統制の強化を図ってまいります。
現状、以下のような改善対応を実施しております。
① 当金庫の業務全般を洗い出し抜本的な管理体制の改善を図ることを目的に、本年3月22 日に外部有識者をスーパーバイザーとした「業務改善委員会」を設置いたしました。
② 役員人事・報酬の牽制機能を強化するべく、本年3月22 日に役員等の指名や報酬等を理事長・理事会へ答申する独立委員会組織として外部有識者を評議会議長とした「人事報酬評議会」を設置いたしました。
③ 監事会からの要請に加え、「人事報酬評議会」から理事長、理事会へ勧告できる制度も創設いたしました。また監査部の主管を監事会としてその独立性を高めました。
④ 各部署間のコミュニケーションを強化し責任を明確化すべく、本日開催の理事会にて、常務理事の部長職委嘱を廃止し経営に専念させ、また、常務理事以上について共同執務室での業務運営体制とし、牽制機能を強化しました。

(3)信用リスク管理態勢の強化
従来の規程、与信管理、営業店の組織体制、研修体系などを抜本的に見直し、融資審査管理を含む信用リスク管理態勢の強化を図ってまいります。
現状、投資目的の賃貸用不動産融資に関して、以下のような改善対応を実施しております。
① 融資審査体制の強化を図るため、本年1月から、投資目的の賃貸不動産融資案件を持ち込む業者の取扱いに係る審査基準を定め、厳正化いたしました。
② 本日付で、審査部を2部制とし審査担当人員の増加を図りました。
③ 本年1月、改ざん・偽装の看過や外部専門家に対する指示・示唆の原因となった貸出目標を過度に評価する業績評価基準を見直し、該当評価項目を廃止いたしました。


全てが「今後」に向けたものであり、「この不正による被害者の救済」は一切触れらていません。


(注)なお、現状当金庫で把握している計数等は以下のとおりです。
○ 投資目的の賃貸用不動産向け貸出案件を持ち込む業者による融資関係書類の偽装・改ざんを当金庫職員が看過してしまった可能性が高い件数
当金庫の認識では127 件です。そのうち、当金庫が、債務者と面談して調査した結果、何らかの偽装等があったと認められる件数が73 件ございました。その他については、引き続き確認を実施してまいります。
○ 経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、当金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為と思われる件数
現存する18 か月間のメールでのやりとりからは258 物件あると確認しています。この期間内の同書面の数との比較では約1 割に相当します。


貸出案件を持ち込む業者による書類の偽装・改ざんに関しては債務者と面談、調査しているにも関わらず「現存する18 か月間のメールでのやりとりからは258 物件あると確認している」=258物件のオーナーは不正の被害者なのでは???


金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為に対する債務者は一切無視


これは「外部業者の不正は追求するが金庫職員の不正は見逃す」ということと同意ではないでしょうか?
そして実際、2023年1月現在においても、金庫職員が共謀したと思われる不正融資の被害者は何ら救済されておらず、金融庁も無視を決め込んでいるのです。

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