火乃絵のロクジュウゴ航海日誌〈scrap log〉 第二百十四日 7/31
午すぎに眼を覚ますと泣いていた、それから一日中哭き伏した、どんな知らせがあったわけでもない。——
よるに『偏向』の原稿回収兼会議をした、そのあとつじと「スタ会」第16回〔upしだいリンク貼る〕を録った、そのあとも押入に籠もりえんえんとないていた。
このまま泣きつづければきっとじめんに孔が空いてひとつ下のせかいになる、
〝私は泣くことをおぼえたが、泣くことは私に何の清水ももたらさなかった。〟
——「海」長沢延子 より
火乃絵は泣くことをしらない子どもだった、涙、涙、涙、涙をこらえる感かくを今日までたもってきたのは、それだけ火乃絵がゲレツであったということなのかもしれない、ひのえはいつでも泣いていたから。
紙は乾いている、だからはやくおまえの涙も涸らせ。
火乃絵にはほんとうに何もない、ただ目が醒めて空が青かったから、夜になるまで泣いている。
——夏が来るといつもこうなのだ、〝だってあたし、夏にここへ来たんだもの。〟 どうか放っておいて下さい。———
涙、涙、涙、涙、涙、涙、涙、涙、涙、
涙、涙、涙、涙、涙、涙、涙、涙、涙、
涙、涙、涙、涙、
火乃絵の歌う歌はない。
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ほんとうのお母ぁさん?
水無月廿二日