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#4 過去作品「Bootsy on the Another Planet」に関するステイトメント

前回に続いて、過去作品についてのステイメントです。以下、2016年に書いたものです。


Bootsy on the Another Planet   2012   ceramic/セラミック  137×51×91cm
撮影:福岡 栄 Photo:Sakae Fukuoka
Bootsy on the Another Planet   2012   ceramic/セラミック  137×51×91cm
撮影:福岡 栄 Photo:Sakae Fukuoka

 ブーツィーとは、ジェームズ・ブラウンのバンドやパーラメント・ファンカデリックに在籍していたベーシスト、ブーツィー・コリンズのことです。

 造形をする時、リズム感、グルーヴ感をとても大切にしています。いいグルーヴ感の上にいいメロディーやハーモニーが乗っかっていくように、良いリズムと良いかたちや色は連動しているように思います。それは、理性で分析的に理解するものというより、踊ったり、身体的な共振をして、楽しむような類いのことです。

 この作品を作っていた時(2011−12年、ある意味今もですが)、日本の現状にやり場のない怒りを持っていました。1960年代のフォークソング、そしてその後のロックやソウル、ファンクといった黒人音楽が示した、現状に対するプロテストの「力」に対してのオマージュであり、同時に、これから人間の意識が宇宙規模に拡大して飛び出して行った時に背後に流れているであろう、未聴の音楽の視覚的表現です。

 この作品にはスペース・ベースを弾くブーツィーの姿の他に様々なイメージ(宇宙飛行士やスペースシャトル、大きな口や歯、モンスターや爆発、カタストロフィー)が配置されていますが、どのイメージもパースペクティヴが奇妙に歪んでおり、見ようによってはそれは奇妙な不協和音を奏でています。作品の周りをぐるぐると回って見ることで、全体的な視覚体験がはじめて得られます。そういう意味では、仕掛けは単純でありますが、鑑賞者の脳裏で再生される映像のような印象を引き起こす作品とも言えます。

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