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ギルティ女史とバースデー -開幕編-

今日も慌ただしいオフィス。
ギルティ女史はいつものように猛スピードで仕事をこなしている。

【ギルティ女史はプラダを着ない】
「働くとは、仕事とは何か」を教えてくれた、
元上司のぶっ飛びストーリをまとめた
エッセイマガジン。
※連載ですが1話完結でどこからでも読めます。


なにかと忙しいこのオフィスだが、スタッフの中で誕生日の人がいる月は、何かスイーツを買ってきて(もちろん私が)、ささやかなお祝いをしつつ飲み物と一緒にみんなに配るというのを催すのが昔から通例のようだった。

とはいえ、結構な頻度で殺伐としている忙しないオフィスである。
仕事のデッドラインに追われて切迫している人などは、ケーキなんて食べている暇はない。
せっかく用意をして、ホールのケーキならばカットしたりしてそれぞれのデスクに運んでも、次の日には残念ながら手を付けられることなくそのままデスクでカラカラになってしまっていたり、ギルティ女史から「今そんなタイミングじゃない!邪魔!ホントわかってないんだから!」などと言われ、せっかくのケーキもろとも祝いの品と私に怒号が飛ぶということも何度かあった。


確かに、空気を見極められない私も私だと思うこともあったが、いかんせん基本的にずっと忙しいのである。
普段からスイーツおいしいね〜なんて優雅な時間を持つような隙がないその空間にささやかなお祝いタイムを差し込むのはかなり難しい。

そんなに余裕がないなら、もはややらない方がいいのでは...?なんて思ってしまう気持ちを抑えて、私は神経をすり減らし、美味しいスイーツを絶妙なタイミングで登場させ各スタッフに配る。

普通の誕生日とは別世界のなんとも言えないそのイベントがある月は、私は申し訳ないけれど正直に言うといつもちょっと憂鬱だった。


そして、そんな時にも彼女のクリエイティブな目は時々光り、そのビームはやはり私に飛んでくる。

あとから薄々わかっていったが、おそらく彼女はギフトが好きなのだと思う。その人のことを考え、その人に喜んでもらえるようなベストなものを提供する。広く考えれば、もしかするとこれも彼女の中ではデザインでありクリエイティブなのかもしれない。
だからこそ、彼女は突き詰める。

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