缶蹴り恋愛逃走中　#毎週ショートショートnote

「トシくんこっち」

「待ってぇマナちゃん」

2人は茂みの裏に隠れた。

「ここで座ってよ？」

「でもここ遠いから、見つかったらすぐユウくんに缶踏まれちゃうよ...」

「それは心配しなくて大丈夫」

「え？どうして？」

ヒソヒソ話していると突然ピーッと音が鳴った。

「ユウくん早っ！」

その音を聞いて喜ぶマナちゃん。訳がわからずトシくんはそーっと向こうを覗く。

「うわぁ、もうみんな捕まっちゃった！助けに行かないと...でも缶の前にユウくんがいる。どうしよう？」

「じゃあ、もうちょっと2人でここにいよ？」

マナちゃんがにっこり微笑んだ。

「ユウ！なんで動かねーんだよ。探しに行けよ」

「そうだよずっとそこにいたら助けに来れないじゃん！」

捕まった子たちが口々に言った。

「まぁまぁ。俺も鬼じゃないからさぁ、もうちょっと2人っきりにさせてやろうかなって」

ユウくんはマナちゃんからもらったレアカードをポケットから取り出しうっとりと眺める。

「いやお前オニだろ！ちゃんとオニやれよ！」

(420字)