ヒノトリ旅日記8 〜地下宮殿とメイハーネとハマム〜
「うへぇ〜口の中が歯みがき粉だぁ...」
「でしょうね」
おはようございます。
昨日歯磨き中に寝こけたトリちゃんはなんとも言えない目覚めのようだがイスタンブールは今日も快晴、晴れやかな朝だ。昨日と同じくちょっと遅めの時間に起きて、朝ごはん。
ご飯を食べながら今日どこに行くかを話す。アヤソフィアに行くか悩んだが、結局私たちの本日のプランはこんな感じになった。
・地下宮殿を見る
・バザール周辺のお店でお土産チェック
・カラキョイ方面を街歩き、メイハーネを探す
・ハマムに行く
アヤソフィアやトプカプ宮殿よりもメイハーネとハマムに重きを置いた私たち。メイハーネというのはトルコの居酒屋さん。昨日夕ごはんを食べたカラキョイ地区にはメイハーネがずらっと並ぶ場所があるんだとか。要するに居酒屋通りということだよね?絶対行きたい。
そしてハマムはトルコの伝統的なお風呂。お風呂といっても浴槽はないのだが、風呂好きとしてはハマムを体験しないで帰るわけにはいかない。
トルコのハマムは公衆浴場的なローカルハマムとオイルマッサージやプールなども利用できる高級スパっぽいものに二分化しているんだとか。でも、公衆浴場系は女性が入れるところは少ないらしい。
一方スパの方は女性客も利用できて、場所によって内容は異なるがサウナ後に大理石の台の上で垢すりをして、マッサージを受けるという感じ。
歴史的建造物を見るよりもちょっといいハマムでマッサージとトルコ風呂を味わい、魚料理がある居酒屋通りでトルコ料理を満喫しながら飲みたいという結論に至った私たち。
やってることは風呂酒日和と大差ない。トリちゃんも「こちら側」の人間で非常に助かった。
予定が決まったところでイスタンブール街歩き2日目スタート。
【地下宮殿】
地下宮殿は、ビザンツ帝国時代にアヤソフィアや近くの宮殿に水を送るために造られた地下貯水池。007とインフェルノのロケ地にもなったらしい。
階段を降りて地下に進むと、大理石の円柱がずらっと並んだ広い空間が現れる。2022年に修復工事とともにリニューアルして、照明や現代アートの展示も加わったらしく、柱の間に急にオブジェが現れたりする。
有名なメデューサの首は想像以上に大きくてかなり迫力があった。その大きさと薄暗い雰囲気も相まって結構ホラー。
下が水面になっているので、自由に歩き回るというよりは床上げされた通路に沿ってぞろぞろ歩いていくという感じだが、通路の広さも十分にあるし何百本と並ぶ柱はまさに宮殿という感じで、壮大な雰囲気を楽しむことができた。
地下宮殿を見終えた私たちはグランドバザールの方に向かう。
イスタンブールにはグランドバザールとエジプシャンバザールという市場がある。グランドバザールは食器、貴金属、食べ物に雑貨などありとあらゆるお店が並ぶ中東最大級の屋内市場だ。
近くにあるエジプシャンバザールは別名スパイスバザールとも呼ばれていて香辛料やお茶、食料品がメインの第二の市場という感じ。
しかしこちらのバザールは観光地としてみる分には楽しいけれど、金額が高め設定という噂。2つのバザールの間の小道にあるお店で良心的な価格で同じものが手に入るという情報をゲットした私たちは、今日はまずバザールの周りを歩くことに。なんとなく欲しいものを見つけながら値段をチェックしていく。明日グランドバザールとエジプシャンバザールを眺めて最終的にどこかでお土産をわーっと買おうという作戦だ。
いやもう小道の時点でとっても魅力的なんですが?所狭しと並ぶトルコランプやチャイグラスを見て発狂する私。全部可愛い…!
気に入った柄や欲しいデザインのものを写真におさめ、明日グランドバザールで気になったものと見比べられるようにしておく。
写真を撮っておくと写真フォルダ内のマップで場所も確認できるので、お店もすぐに見つけられて便利だ。
一通り見終わって時刻はあっという間に14時頃。さすがにお腹が減ったねということでカラキョイに移動して魚料理を食べながら飲めるところを探す。
昨日は歩いてガラタ橋の先まで行ってみたが今日はイスタンブールカードを買ってトラムで移動してみる。トリちゃんは最初「電車は怖いから乗りたくない!」と言っていたのだが、街中を走る路面電車はかなり混雑しているものの、心配していた怖さは全くなく超快適。
路線図を見ていたら駅員さんと思われるお兄さんがものすごく親切に教えてくれて「もっと早く乗ればよかった〜怖がりすぎてた!」と嘆くトリちゃん。結構怖いもの知らずで好奇心旺盛なのに電車はなぜか激しく警戒していたのが面白かった。やっぱりネットや本で得た情報の他にも現地で体験してみてわかることもいっぱいある。
【メイハーネ】
昨日は海沿いあたりまでしか来れなかったが、もう少し先のカラキョイの街は旧市街よりも穏やかな街並みですごく歩きやすい。
ブラブラと歩いて、気になったお店の前でメニューを見ていると奥からおじいちゃんの店員さんがニコニコ顔でやってきた。「どうぞどうぞ、やってるよ〜」みたいなジェスチャーをしながら他のメニューも見せてくれる。とっても優しそうな笑顔に惹かれて入店。
席についてさっそくビールを注文。料理もお酒もナイスプライス!メニューの写真から生魚っぽい見た目のLakerdaというのを頼んでみる。
下にPickled Tunnyと書かれていたので塩漬けの...ツナ?マグロ?なんて想像をする。あとはフムスと小鰯の唐揚げっぽいものも注文。
わーい生っぽい魚だー!と喜んでさっそく食べてみる。
うまーい!マグロじゃなくてこれはカツオかな?塩気のある味に添えられた玉ねぎが合う〜!そして当然ながらビールにも合う〜!
フムスもそのまま食べてもパンに乗せて食べても美味しい。パンはいつだってわんさか出てくる。
想像よりも特盛で来たイワシの唐揚げ。こちらもシンプルな味付けで箸(フォーク)が進む。トリちゃんが隣の席に座っていたお姉さんたちの、フレンチフライと共にやってきたケチャップとマヨネーズのボトルを発見し「ちょっとだけ分けてください!」とファインプレー。
味変調味料もゲットしてさらにいいお酒のアテになった。
居心地が良すぎてビールを何杯か飲んで、ゆっくり過ごす。
お腹いっぱいになったトリちゃん、そろそろお会計しようかと話していたら「うん、でもちょっとだけウトウトしていい?」とバッグを開けて財布を取り出しながら寝そうになる。
おじいちゃんの店員さんも「え?今寝るの!?」みたいな顔をしてびっくりしながら笑っている。あんなに電車を怖がっていたのに、無防備すぎて危機感がバグっている。
「せめてバッグを閉めてからウトウトしてくれ...」
「え〜大丈夫だよ。だってヒノちゃん目の前にいるし」
そらそうだけど、そんなに全力で委ねられても怖いのですが...!トリちゃんをなんとか再起動し、お店を出る。
再びトラムに乗って旧市街に戻ろうと決めて、駅までの街を歩きながらお土産屋さんを見たり、ハマムがあったら値段をチェックしたり。
大きめのスーパーがあったのでばら撒き系お土産も買ってちょっとずつ荷物が増えながらもガラタ橋の方に南下。私は楽器屋さんっぽいお店でトルコの民族楽器っぽいおもちゃも買えて大満足。海外旅行に行ってミニ楽器を見るとついつい欲しくなってしまう。
【ハマム】
ハマムは色々見て歩いた結果、スルタンスレイマンハマムというところへ。
ホテルの中に併設されてるようで、入口前にメニューが出ていたのだが、眺めているとスタッフの人が来てくれて「この値段で、こっちの上位プランにしますよ」と素敵な提案をしてくれる。2人一緒にこれからすぐ案内できるということで即決。
ハマムの内容は、まずドライサウナからのスチームサウナ。体が温まったところで大きな大理石の台に2人並べられて垢すり&泡マッサージ。
てっきり施術する人も2人来てくれるのかと思ったら、お姉さんが1人で順番にやるスタイルだった。
特に何も言われずに淡々と始まったので、私は最初大理石の上に放置されながら垢すりと泡マッサージを受けるトリちゃんをひとしきり横目で眺める。なかなかシュールな待ち時間だったが、その分施術の様子を見学できて面白かった。友人が泡まみれにされるのを至近距離で寝そべりながら眺めるイベントなんて人生最初で最後な気がする。
泡を洗い流してもらったトリちゃんは大理石から降ろされ、壁沿いの腰掛けでしばし待機。続いて私の垢すり&泡マッサージタイム。
くるくると体勢を変えてお湯をかけて泡を流すところまでお姉さんがやってくれるので、なんだかお風呂に入れられている子どものような気持ちになる。
その後、一度バスローブを着てソファに座ってちょっと休憩。
チャイとオレンジジュース、フルーツと小さなお菓子などが出てきて優雅にオイルマッサージまで待機。
最後に別々の個室に案内されオイルマッサージと顔に泥パック。気持ち良すぎて途中ちょっと寝てしまったが多分1時間くらいマッサージしてくれた気がする。至福すぎて記憶が朧げ。シャワーを浴びてハマム体験が終了。
多分120分くらいのプランだったの思うのだが、結果お店を出る頃には軽く3時間を超えていた。たまたまお客さんがいなかったからか、スタッフの人も終始ゆったりとしていて時間もアバウトな感じ。かなりゆっくりと過ごさせてもらえて大満足。
ハマムを出るとなんだかんだで22時前くらい。
日が落ちるのがかなり遅く、20時くらいまで明るいので時間感覚がわからなくなっている。
ちょうど向かいに大きめのスーパーがあったので、つるんとすっぴんになったし、荷物も多いから今日はここで夕ごはんになりそうなものを買ってホテルでゆっくり過ごそうかということに。
ここのスーパーは小さめパックのチーズやハムも充実していて、いい感じのおかずが揃う。見たことのない絵面の缶詰も冒険で購入。
おつまみであればこれくらいで十分なのだが、主食はどうしよう。悩んだ結果、お昼にパンをたらふく食べた私たちはパン以外がいいよねぇという話になって、またしても例のカップラーメンに手を出してしまった。パンを避けると選択肢はそれしかない。
でもお湯問題は今回は大丈夫。実はティーカップを4つも届けさせてしまった翌日、フロントのおじさんが「Roof Restaurantがやっている時間ならそこに持っていけば対応してくれる」と教えてくれたのだ。
すみません...またお湯くれジャパニーズ、発動していいですか?
ホテルに戻ってすぐにRoof Restaurantに向かうと、バーテンダーのおじさんが快くお湯を沸かして入れてくれた。ありがとうございます...!
おぉ、いい感じに揃ったのでは?と喜びながらイスタンブール2日目のディナー。
レストランで食べるのもいいけど、こういうよくわからんけど買ってみた!という冒険フードを色々食べてみるのも楽しい。
「あぁ、このカップラーメンって本来はこんな味なのねぇ」なんて言いながら、2日前の極限状態だったプチ喧嘩を振り返る。「あれはなかったことにしよう」じゃなくてちゃんと「あの時はどっちもダメダメだったねぇ」と話せる関係だからこそ、私たちは全然性格が違うけれど一緒に旅ができるのかもしれない。
明日はいよいよイスタンブール最終日。
空港に行くピックアップの車が来る前にバザールを2つ回って、お土産を買って、できれば食べ損ねているサバサンドを食べる!が目標だ。朝はずっとダラダラしてたけど、明日は朝早くから頑張って動こうと早めに寝る準備。
今日はちゃんと歯磨きとお片付けもしてベッドの中に入れた。えらいぞトリちゃん!