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あの頃何も言えなかった私は、ひたすらに水を飲み続けた


今でこそ愉快に家族の話など人に話したりここに書いたりして「良い家族だね」「いい親子関係だね」なんて言われることもあるが、我が家が昔から楽しいばかりの家だったかと言われるとそれはそうでもない。
まぁそんなことはどこの家もそうだと思うのだが。

終始険悪なムードだった、暴力があった、家に誰もいなかった
そんなことはなかった。
しかし実家に住んでいた頃、ある時期の私は大体「無」だった。


そうなったのにはある理由がある。
我が家は周りの家庭からするとおそらく割と厳しい方の家で、禁止されたテレビ番組の延長ではないが、見てはいけないもの、やってはいけないこと、行ってはいけないところ、大なり小なりなにかと「できないこと」が多かった。
そして、私が一番気に食わなかったのが、それらの「理由」を教えてもらえないことだった。
いわゆる「ダメなもんはダメ。」というやつである。


いくら「なんで?」と聞いても、その先の答えはない。
子どもとしては何を言われてもふてくされていたかもしれないが、なぜかもわからないというのが私の中では一番納得できなかった。

ほしいものがある、行きたいところがある、みんなで集まってこれをする、挑戦してみたいことがある、興味を持ったことがある。
子どもながらにどうしても譲れない「やりたいこと」がなぜかもわからず「ダメ」の一点張りで拒否された時、私は落胆したあと、なぜそれをやり始めたか覚えていないのだが、いつしかいつもある行動を取っていた。

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