家から聞こえるいろいろな音と会話をする私。
今住んでいる家は古い。
そのせいか、なにか重さをかけたわけでもないのに、どこからともなく気まぐれに音がする時がある。
私はこの、時折キシッと「家が鳴る音」が好きだ。
最初は「なんだ?」と首を傾げ、虫やネズミでもいるのかとちょっと嫌な気持ちになっていたが、家とも長い付き合いになると、よくしたものでそんな軋みもなかなか味わい深いもののように思えてくる。
水道から、蛇口を触ってもいないのに突如一定量水がボトボトと流れるのも、いい感じで年季の入り具合が伝わってきて好きだ。
おそらくパッキンか何かの劣化によって起こっていると思われるあの現象。
あれも最初は「えっ何?壊れた?」なんてびっくりしていたが、たまにそうなる時があるとわかってからは、今やボトボトと聞こえると「おぅ、そうかそうか。」なんて相槌を打ってみたりするほどである。
タオルケットを育てているだけでなく、水道と会話しているなんて知られたら、いよいよ変人扱いされるだろうか。
友人には「いや、いいからホントに壊れる前に早く修理しなよ。」と真顔で言われる。
正体や原因がわからなかったり、不思議なものだと捉えている時は、それが薄気味悪かったり嫌な感じを覚えていたが、付き合いが長くなり「そういう時もある」と知ってからは、なんだか家も生きているような、一緒に暮らしているような気分になってくる。
ギシッ
うんうん。
ボトボトボト
そうかそうか。
怪訝そうな目が怖い。
もうこれ以上、家と会話するシーンを綴るのはやめよう。
あとどれくらい、ここにいるのかな。
きっと一生ここにはいないだろうから、遠くない将来、この家を出る日が来るんだろうな。結構古いし、もしかしたら「もう取り壊すので退去して下さい。」なんて最後もあるかもしれない。
それはちょっと嫌だな。
ずっと一緒にはいられないけど、いつまでもそこにいて欲しいなんて思う勝手な私。
とりあえずもうしばらくは、私も家も、何も変わらないだろう。
何かが変わるその日まで、私は家との会話を楽しもうと思っている。
水道はボトボト言わせてないで大変なことになる前になんとかしなきゃなぁとも、一応思ってはいる。
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