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Photo by
kotori1983kotori
ジンジャークッキーイブ #毎週ショートショートnote
クッキー屋のジンジャーマンは悩んでいた。
もうすぐクリスマス。ひと昔前は大忙しだったのに、苺のケーキやブッシュドノエルなどの人気に押され、近頃はあまり売れなくなってしまった。
そこでジンジャーマンは郊外に売り込みに行くことにした。
街のはずれにはエルフやドワーフなど様々な種族が住んでいる。彼らは滅多に街に来ないので、配達すれば売れるのではと考えたのだ。
予想は的中し、何件か注文が入った。
「ではイブの日にお届けします!」
「楽しみだわ、遠くまでありがとう」
「いえ、これから向こうの村にも行く予定でしたから」
「それは危険よ。あそこは巨人族の村なの」
「そうですか...」
ジンジャーマンは考えた。
でも巨人族なら大きなクッキーが売れるかもしれない。せっかくここまで来たし、行ってみよう。
そしてイブの日。
エルフの家のチャイムが鳴った。
「クッキーを届けに来たよ」
玄関に出たエルフは驚きながら答えた。
「まぁ巨人族の...どうしてあなたが?」
「注文したクッキーを街に取りに行ったから、ついでに持ってきたんだ」
「そうだったの。じゃああなたも今年のクリスマスはジンジャークッキーを食べるのね」
「それが...あまりに美味しそうで、待ちきれなくて...」
(511字)
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