風を治すクスリ　#毎週ショートショートnote

クシュン！
クシュン！

「あーあ、カゼかなぁ…」

風が大きなくしゃみをしながらボヤく。昨日から急に寒くなってなんだかどうも調子がおかしい。

クシュン！

風がくしゃみをする度に、街には突風が吹き荒れた。

このままでは注意報が出てしまうかもしれない。風は空の病院に駆け込んだ。

「うん、これはカゼですね」

「あぁやっぱり…」

「まぁたまには風が吹かない日があってもいいじゃない。ゆっくり休めば大丈夫。あったかくして、水分もとってね」

トボトボと帰ってくると空の仲間たちが心配してやってくる。

「どうだった？」

「カゼだって。あったかくして水分とれって」

「よし！任せて！」

その日、太陽はつきっきりで看病して風のことを温めた。雨も度々様子を見にきては水枕を替えたり飲み物を飲ませてやった。

次の日、風のくしゃみはぴたりと止まり街に平穏が訪れたかと思ったのだが。今度は太陽が高熱を出し、雨も鼻水が止まらなくなってしまった。

突風が吹いていた街は、たちまち熱帯雨林のような気候になった。

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