ヒノトリ旅日記9 〜さよならトルコと謎の呪文マツバセンチ〜
イスタンブール最終日。
そろそろ食べ慣れてきた(食べ飽きてきたとも言う)朝食バイキングでいつもの朝ごはん。
最初はパン食生活にやや不満だった私も、ちょっとずつパンが美味しいと思えるようになってきた。ホテルのバイキングにあるベルトコンベア型トースターにパンを入れたくて頑張って食べてるみたいなところもある。(子どもか)
自分の入れたパンがどんどん中に入っていてジリジリ焼かれて、ぼとりと無造作に下に落とされるあの動きを見てるのが楽しい。昨日まではトリちゃんに「どのパン食べるの?1個焼かせて」とワガママを言っていたがとうとう「自分で食べるの焼きなさい!」と言われてしまった。
連日バブ寝するトリちゃんを仕方なくお世話しているように書いている私だが、こういうボタン押したい!私がやりたい!みたいな小学生のような欲求は断然私の方が強く、トリちゃんはたいてい「ヒノちゃんやっていいよ」と譲ってくれる。トリおねいさん。
朝食を食べ終えてすぐに準備しバザールへ出発。
グランドバザールとエジプシャンバザールは昨日歩いた小道の特大密集版という感じ。食器や布製品、お茶、スパイス、お菓子などがなんでも山積みになっていて、立ち止まって眺める度に色々な柄を見せてくれたりナッツやドライフルーツを味見させてくれる。確かにお値段はちょっと割高だ。でもこの迷路のような場所にずらーっと商品が並んでいる感じは見ていてかなり楽しい。
トリちゃんはここでドライいちじくと、オレンジの輪切りやお花が入ったハーブティーを購入。「昨日の通りにも同じようなのあったけど、いいの?」と聞くも「ここで買う感じがいい!」とのこと。にゃるほど。
私は昨日チェックしていたものと同じものがグランドバザールにもあったが、ランプ、グラスともに小道のお店の方が安かったのでそちらで買うことに。ほどほどにバザールを見終わって、念願のランプとグラスもゲットして今日もガラタ橋の方へ。
この辺はもう散々歩いたのでなんとなく道がわかるようになってきた。
ボートの中がキッチンみたいになっている海沿いのお店で無事サバサンドもゲット!なかなか大きい。
シャキシャキのレタスと玉ねぎにサバの塩焼きがサンドされていて、あっさりめの味付けが美味しい。
サバサンド片手にちょっと遠回りしてホテルに戻る。
「あぁ〜トルコ終わっちゃうよぅ〜悲しい〜」
サバサンドを食べながらトルコとの別れを惜しむトリちゃん。もう2日くらいあったらフェリーに乗ってアジア側の方にも行きたかったねぇなんて話す。
ホテルに戻って買ってきたお土産の梱包とパッキング。なかなか荷物はパンパンだ。悩みに悩んだ末、この旅のために新しく大きめのキャリーバッグを新調したのだが買って本当によかった。
夕方ピックアップの車が迎えに来て、イスタンブール空港へ。機内食出るかな?と言いながらも時間潰し&小腹満たしでペンネとポテト、ナゲットを食べる。
初日に飛行機に乗り損ねた際、ヤケビールと共に食べた思い出のペンネ。SBARROというピザのファーストフードチェーン店なのだがここのペンネ、ワンカットのピザよりも安い上にかなりたっぷり入っていてしかも美味しいのだ。2人でシェアするのにとってもちょうどいい。
日本にもあったけど撤退したみたい。知らんかった。
ちなみにYo! Sushiという名前のお寿司とジャパニーズレストランのお店もあって、お米と生魚食べたい欲に駆られたが「いやいや、さすがにそれは帰ってからにしよう」と我慢。ちなみにお値段はテイクアウトのサーモンメインのスシボックスで1人前37ユーロとか。約6,000円である。うひょ〜!
腹ごしらえも終えターミナルを歩いていると、お土産屋さんでパッケージが可愛いお菓子を発見。トルコの伝統菓子ロクムだ。
「見てみて、箱めっちゃ可愛くない?お土産に買おうかなぁ」
「ほんとだー可愛い!もしかしてこれがトルコタイル?あ、普通の箱かぁ」
お菓子のパッケージを見てこれがトルコタイルかと聞くトリちゃん。まぁモチーフというかイメージ的にはそうかもだけど。トリちゃん、君は3日間トルコで何を見ていたんだ...。
18過ぎくらいにイスタンブールを出発。しばらくして機内食の時間が来た。やっぱりエミレーツはごはん付きらしい。ビーフorチキンだったのでチキンをチョイス。
「こんなにしっかり出てくるならペンネ食べなくてもよかったかもね」
「いや、あれはごはんっていうか、通過儀礼?みたいなやつだから!思い出として食べなきゃいけなかったんだよ」
「あ、そうですか...」
久しぶりの機内食とお酒もいただいて、お腹いっぱい過ぎて2人ともすこんと寝る。飲み物はウイスキーをリクエストするとミニボトルがもらえるので、チェイサー代わりにソーダを頼めばハイボールが飲めるということがわかった。これは帰りの飛行機でも使えるかもしれん。異国でもマイスタイルを貫く私たち。
ドバイ空港に着いたのは22時前くらい。
むにゃむにゃとまだ眠そうなトリちゃんを誘導しながら送迎の人がいるところを探す。
「ねぇヒノちゃん...見て。金の玉に、毛が生えてる...」
「は!?何て?」
まだ寝ぼけているのか、トリちゃんがいきなり下ネタじみたことを口走る。何を言ってるのだと振り返ると上を指差すトリちゃん。
今回の送迎のドライバーの人はかっちりとした制服っぽいスーツを着たお兄さん。ペットボトルのお水を渡してくれて早速ホテルへ。
ホテルに着いたのは23時頃、チェックインして荷物を置く。ここのホテル、エレベーターがツヤツヤの木調だったり部屋のベッドスローとクッションが壁の色とお揃いだったり、カードキーもショップカードのようなデザインで、レトロな感じがとっても可愛い。
しかし、そんな雰囲気とは全く違う方向性のズンズンとした音がフロントの横にあるラウンジから聞こえてくる。ラウンジの扉の前にはクラブのセキュリティーのような黒T黒パンツの体格のいいお兄さん。どうやら何かしらのイベントが催されているらしい。
一度ホテルを出て近くのスーパーに閉店前に駆け込み、炭酸水を買う。お腹はいっぱいだけどせっかくなので最初で最後のドバイの夜にハイボールで乾杯。
行きに免税店で買ったバランタイン、明日の帰る頃には空きそうかな?というくらいいい感じに減ってきた。酒好き貧乏旅の私たちはだいぶこれに助けられた。(散々ビールも飲んでたけど)
部屋着に着替えてゆっくり飲んでいたところをトリちゃんが言う。
「ねぇ〜1階のラウンジ行ってみない〜?」
「え、今から!?あのズムズムしてたとこ?」
「そう、ズムズムしに行こうよ!だってこのままここで飲んでたらまた眠くなって今日が終わっちゃいそうなんだもん!終わりたくなーい!」
出ました、旅の終盤になると終わりを憂うトリちゃん魂の叫び。
でも、そうだよね。明日の今頃はもう帰りの飛行機の中だ。ラストナイトをできるだけ楽しみたいのはすごくわかる。しかしその答えがあのズムズムラウンジに行くことなのかはちょっと疑問である。
「ちょっとだけ!1杯だけでいいから!なんならその1杯あたしが出すから!」
「そんなにも行きたいんかい。じゃあちょっとだけ見に行ってみようか」
「わーいいこいこ!」
ぴょーんとベッドから飛び降り部屋を出ようとするトリちゃん。
「え!待って待って、そのかっこで行くの?」
「え?うん、大丈夫じゃない?」
トリちゃんのファッションスタイルはドラえもんの4コマが書いてあるTシャツにかなり短めのコットンのパンツ、要するに寝巻きである。いや〜さすがにどうなの?と言って一応私はてろてろの部屋着からワンピースに着替える。
ラウンジに向かうと案の定トリちゃんが入口のムキムキお兄さんに「その格好はダメ」と言われ、一度部屋に戻る。どうやらショートパンツがダメっぽい。長めのパンツに着替えて行くとちょっと苦笑いしながらも「やれやれ」みたいな顔をして入れてくれた。ドラえもんはギリOKだった模様。
「今日はインディアンナイトだよ」
入る直前にそんなようなことを言われ、え?インディアン?と思いながら入場。確かに店内には特有のインド系ズムズム音楽が流れている。
そして横長のステージにはずらりと10人くらいの女の人が。それを観覧するような形でステージのすぐ前にテーブル席、壁に沿ってボックス席がある。え?これは、どういうラウンジ...?
女の人は色々な国籍っぽいが、見た感じインド人はいなそう。待機するホステスさんのようにステージの縁に何人か座っていて、曲が変わるごとに「あ、わたしこれ踊れる」みたいなノリで自由に入れ替わり立ち替わりステージの前に行って踊っている。ダンスというよりはめちゃくちゃ高いヒールを履いてセクシーに揺れておりますという感じ。
うーんと...なんちゃってゴーゴーバーみたいな感じでしょうか。なるほど、セキュリティーのお兄さんのあのリアクションは「やれやれ」ではなく「君らが入ってもそんなに楽しくないかもだけどまぁどうぞ」の顔だったのか。
最初は物珍しさでほほぅと眺めていたものの、1杯飲んで2人とも「うん、もういいかな」と目を合わせてラウンジを出る。
「うーん、なんか思ってたのと違ったぁ〜」
「そうね、普通のクラブかバーかと思ったら完全に観覧する系だったね...」
再び最後の夜がこんな感じで終わっていいのかとしょんぼりするトリちゃん。なんとなくテレビをつけるとドバイの音楽番組というか現地のアーティストのMVっぽいものが流れてきた。
どっしり体型の陽気なお兄さんが2人、カメラに向かって「ほらほら楽しいよ〜」みたいな動きをしながら歌っている。そしてサビっぽいところになって「マツバセンチ」と聞こえる言葉を何度も繰り返しながら踊り出した。それを見て私もマツバセンチと呟きながらトリちゃんの前で踊り出す。
「なにそれ〜!あたしもやる!!」
そう言って一緒に踊り出すトリちゃん。この夜を楽しく終わりたい!という気持ちがシンクロした我々。携帯で曲を検索してYouTubeを探し当て、マツバセンチをリピート再生。愉快な2人の動きを真似しながら、どれだけドヤ顔でいいポーズを決めながら「マツバセンチ」を言えるか競い合う。なんだこの夜。
だれかこの「マツバセンチ」は何語なのか、そして一体どういう意味なのか、ドバイに(?)詳しい人がいたらぜひ教えてほしい。(2:00くらいからめっちゃマツバセンチ)
こうしてラウンジよりもわずかな盛り上がりを見せ、私たちの最後の夜は更けていった。
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