ギルティ女史とスタッフ研修
今日も慌ただしいオフィス。
ギルティ女史はいつものように猛スピードで仕事をこなしている。
「あなたはそうね...。ねぇ、大学時代に東京にある建築物を見て回ったりした?」
「あー、いえ...。キャンパスが遠かったので実は都心の方には出てくることがあまりなくて...」
「あーぁ、そんなことだろうと思った。せっかくはるばる北海道からこんな近くに来たっていうのにもったいない」
「確かにそうですね...。今更ですがそう思います」
「じゃあ決めた。あなたは青山とか表参道あたりの建築物を最低でも5個以上まわって、その中で自分が気に入ったデザインや興味が惹かれた2つについてまとめてちょうだい」
そんなことを言われたのはいつも忙しいオフィスで、繁忙期の大きな波を乗り越えささやかな落ち着きを取り戻したくらいの頃だった。
ギルティ女史が話しているのはここのオフィス独自の「研修」のことである。
「研修は私が毎年、今年はこの子とこの子に行かせようって何人か選んで行ってもらってるの。ほんとは全員でどこかに行って新しい知識を学んだり情報をアップデートしたりしたいんだけどみんな忙しいじゃない?
だから行ける隙を狙って、各々に足りていないと思われるテーマを出して学んでくるという日を作ってるの」
その研修とやらは、一人一人ギルティ女史からテーマが与えられ、就業時間の中でどこかに外出しそれぞれ学んだ内容をレポートとしてギルティ女史に提出するというちょっと特殊なものだった。
なんか会社なのに学校の課題みたいだなぁなんて思いながらも引き続き彼女の話を聞く。
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