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創作リレー第5回「海の友達」の振り返り

※前編はAI画像生成のまとめ、後編が本編まとめです。
今回、全文読めます^^

メンバーシップ「触れ合うプラン」「包み込むプラン」で行っている企画、創作リレー。


第5回が終わったので、今回もテーマ画像の試行錯誤や感想をまとめてみようと思います。

【こんな感じでやってます】
・月のはじめに掲示板にてテーマとなるタイトルと画像を発表します
・コメント欄にて前の人からバトンを繋ぐように続きのストーリーを書いていきましょう!
・コメントに返信の形で感想を書いたり、交流するのも大歓迎です
・最終的に出来上がった物語を限定noteにてまとめます


第5回は「海の友達」というタイトルでした。
前回まではなんとなく思い浮かんだイメージを画像生成で作ってから、最初の文章を書き始めるという方法で作っていたのですが、今回は書き出しの文章が先に思い浮かんだので、その文章の情景を描いているような画像を目指しました。
文章と画像を作る作業、曲を作る時の歌詞が先かメロディが先かみたいな感覚と似ていて面白い。

お題のイメージ画像はいつものようにAdobe Expressを使用して作っています。最初に入れたワードはこんな感じ。

【入力したワード】
海 夕暮れ 少女 少年 秘密 ミステリアス ファンタジー 幻想的

出てきた画像がこちら。

え〜素敵〜!でも書いた文章のシチュエーションとはちょっと違ってしまった...。
あ、そうだ。画像生成は単語を並べるよりも文章調で書く方がいいんだった!前回学んだことをすっかり忘れている私。

先ほどの単語に状況を説明する文章を足してみる。
そしてファンタジーという言葉にだいぶ引っ張られてしまった気がしたので、単語からファンタジーを削除。

【入力したワード】
「田舎町の海辺で小さな少年と少女が夕暮れの海を眺めている様子。 海 夕暮れ 少女 少年 秘密 ミステリアス 幻想的」

これでどうかな?

うーん...これはこれでいいんだけど...。遠巻きに見ている感じというよりは、もうちょっと海に寄った画が欲しいなぁ。あと姉弟みたいになっている少年少女をお友達っぽくしたい。
頭に思い浮かんでいるイメージを言葉で作るのって難しい!

色々試行錯誤しながら新しいワードを入れてみる。

【入力したワード】
田舎町の海辺、夕暮れの海岸、砂浜。海に足を入れている様子。

思い切って書き換えてみるも、海辺、海岸、砂浜って結局どこを描きたいねんみたいな文章になってしまった。AIさん、かなり曖昧ですがいかがでしょうか...。

ファンタジーみが復活。海沿いめちゃくちゃ栄えてるなぁ。綺麗だけど、惜しい...。
2枚目、家があって石畳があって、浜があってすぐ海。ものすごいロケーションだ。柵みたいなのあるけどすでに水越えてきてるし。
これ大荒れになったら即終了の町じゃん...危険シティ。

どうにか海沿いの家を撤去していただこうと、注釈のような追記を入れてみる。

【入力したワード】
田舎町の海辺、夕暮れの海岸、砂浜。海に足を入れている様子。海沿いに家はなく、広い海が広がり、夕陽だけが光っている。

せっかく色々素敵な街並み描いてくれたのに、すみません。
これでどうだ!


だいぶこざっぱりとはしたものの、やっぱりどうしても海の近くに家々は並べたいらしい...。
あっ、わかった。これ「田舎町」のせいじゃない?
私が最初に田舎町の〜と書いたせいで、どうにかして町の要素を画像に入れてくれているのではないだろうか。
ぎゃー!そういうことだったのか。AIさんからしたら「海沿いに家はなくって...じゃあどうやって"田舎町感"演出すんねん。無茶言いはるわぁこの人間...」と思っていたことだろう。すまぬ。

なんとなくわかってきたぞ。細かいストーリーは省いて、ピンポイントに描きたい情景を打ち込んでみることにする。

【入力したワード】
夕暮れの海岸、砂浜。海に足を入れている様子。広い海が広がり、夕陽だけが光っている。

これでいかがでしょう。

おぉ〜いい感じ。そして予想通り、家が消えた!やはり私の余計な文言のせいだったのか。
大人のお姉さんが出てきたのでなんとかその辺を修正するように文章を変えていき、たどり着いた画像がこちら。


そうそう、こういうのをイメージしてたの。できた〜!

こんな感じでテーマの画像を作りました。
5回目にして「こんな風に書いたらこういう画像になる」というのがなんとなく掴めてきた気がします。もっと修行せねば...。


そして一ヶ月でつながったショートストーリー。
つながったというか、今回は日野のソロリレーになりました!
むしろ今までの4回、リレーできてたのが奇跡...。まだまだ駆け出しのメンバーシップなので、これからもっとみなさんに参加していただけるように頑張ろう!と思いを新たにこつこつ物語を書きました。

誰かがいて、どんな展開になるのかとワクワクするのも楽しいし、時間をかけて少しずつ想像を膨らませながらゆっくりと書くのもまた面白いなぁと色々思いながら書き進めた一ヶ月でした。


というわけで、今回は全文公開で完成したストーリーをこちらにまとめます。「こんな感じか〜」とか「ここの続き、私だったらこういう展開にしたかも」なんて思ってくださった方は、ぜひメンバーシップに遊びにきていただけたら嬉しいです^^

これからも参加者の方がもっと増えたら嬉しいなぁと願いつつ、のんびりゆっくり楽しんでいこうと思います。


【海の友達】


「ぷはっ!!...はぁ、はぁ。何秒だった?」

「おー!42秒!!新記録達成!」

「よしっ!」

ここは海沿いにある小さな町。
オレとユウジは家が近く、親同士が仲良かったこともあって生まれた時からずっと一緒に育った。

オレたちの遊び場はいつも海だ。
町で遊ぶところなんて海か公園くらいしかない。公園は何十年も前から置いてあるような錆びれた遊具しかないし、水や砂のかけ合いをしてると女子が文句を言ってくるので、オレたちはいつしか公園には寄り付かなくなった。公園と同じで昔から全く変わらないのに、海はなぜだか飽きない。


最近オレとユウジがハマっているのは「息止めゲーム」だ。
夕陽が沈む頃、いつも帰る前の儀式としてどれだけ水の中で息を止めてられるかをお互い数えて競い合う。
最初は2人とも20秒くらいしか持たなかったけど、毎日やっているうちに記録が伸びてきた。しかも最近のオレはめちゃくちゃ調子がいい。
今日も新記録を更新したオレを見てユウジが言った。

「俺まだ40秒超えらんないよ。タクヤ、このままいったら50秒いけるんじゃない?」

「はっはっは、やっぱお前と違って日頃の行いがいいからだな」

「俺ら毎日おんなじことしかしてねーじゃん!」

「へっ!じゃあ才能の差だよ」

いつものように夕暮れの海でふざけあっていると、後ろから声がした。
波の音にかき消されてしまいそうな小さな声。

「ねぇ、わたしも仲間に入れて?」

これが、オレたちと彼女の最初の出会いだった。


浜辺を見ると、そこには1人の女の子が立っていた。
クラスの女子じゃない。というか、この町の子どもなら同級生じゃなくたって大体どこの家の子かわかる。知らない子と会うなんて今までありえなかったから、オレとユウジは驚いた。

「え...君、誰?」

そう言いながら近寄っていくユウジを急いで追いかける。

「あたし、ウミ」

「え?ウミ?あはは、ユウジ聞いたかよ。こいつの名前、海だってよ」

オレが笑うと、ユウジはウミをフォローするように言った。

「お前人の名前バカにすんなよ。ごめんな?タクヤ、口が悪いんだ。頭も悪いけど」

「ちょっと待て、今なんつった?」

「ウミ、いい名前だな。俺の姉ちゃんも海がある町の子だからミナミっていうんだよ。美しい波でミナミ」

「おいユウジ、無視すんなよ!」

そんなオレたちのやりとりを聞いて、ウミは「仲良いね」と笑った。


「ねぇあたしも息止め、得意だよ」

「ほんと?じゃあ一緒にやろうよ!」

ユウジが誘うと、ウミはすらりと海の中に入ってきた。

「ははは、ウミが海にいる」

オレが再びからかうとユウジが「やめろって」とオレの頭を叩く。

「いいよ。この名前気に入ってるし。あと多分息止め、タクヤに負けないし」

にっこり笑いながらウミにそう言われ、オレはムキになって答えた。

「お?言ったな。じゃあ3人で対決しようぜ」

3人で向き合い、オレが「せーの!」と言うとみんなで海の中に潜った。

次の瞬間、


...え?
オレは心の中でかなり驚いた。
海に潜った途端、視界が急に明るくなったような気がしたからだ。
いつも潜る時は目を閉じている。海水が目に沁みるし、ましてや夜の海なんて何も見えるわけはないだろうから目を開けようなんてそもそも考えたことがない。でも、瞼の向こうに確かに感じる眩しい光。

俺はおそるおそる目を開けてみた。


そこには、今まで見たこともないような海の光景が広がっていた。
踊るように泳ぐたくさんの魚たち、キラキラと輝く砂のような光の粒が無数に舞う。
目の前にはユウジとウミがいる。ユウジは目を瞑っていて息を止めるのに必死だ。そしてウミは、オレと同じように目を開けてにっこりと微笑んでこちらを見ていた。

「きれいでしょ?」

ウミの口が動いた。いや、確かにそう言った。声が聞こえた。
オレは驚きのあまり止めていた息を全て吐き出し、目の前が気泡だらけになって勢いよく水面に顔を上げた。

「はぁっ...はぁっ...」

視界にはいつもと同じ夕暮れの暗い海が広がる。
続けて顔を上げたのはユウジ、それから少ししてウミがぱっと水面に顔を出した。

「ほら、あたしの勝ち」

「ウミ、すごいじゃん!っていうかタクヤ、どうしたんだよ?俺より先にギブアップなんて珍しくない?やーい、タクヤがビリ〜」

「いや、だって今...」


自分の目に映った光景が信じられなくて説明しようとしたが、その直後オレはぴたりと黙った。
不思議そうにオレを見るユウジ。その後ろで、ウミが人差し指を口にあててさっきと同じ顔でにっこりと微笑んでいる。「内緒」とでも言うように。

「いや...なんでもない。ちょっと変なとこに入って、苦しくなっただけ」

オレはさっき見た海の中のことは言わずに、咄嗟に思いついた言い訳をした。

「ふーん。でも、負けは負けだからな」

いつもオレに勝てないユウジがニヤニヤしながら嬉しそうに言う。

「そうだよ。タクヤの負け〜」

そう言ってウミがニコニコと笑う。
オレがまだ動揺を隠せないまま無言になっていると、ユウジが叫んだ。

「あっ!っていうかもうやばいじゃん!日が沈むよ!」


オレたちは2人とも日が沈む前に必ず帰ってくるようにと親にきつく言われている。海で遊んでいることも秘密にしていたけど、どうやらそれはバレているようで、黙認する代わりに絶対に守らなければいけない約束だった。

「うわ!怒られる!ユウジ、行くぞ」

オレたちは急いで海から上がり、家の方に走る。

「あたしもかえろ。またね」

ウミのことが少し心配だったけど、今はそれよりも家に帰る方が最優先だ。オレたちは返事を返しながらも、振り返ることなく猛ダッシュで家に帰った。


あの日から、いつもの遊びにウミが加わるようになった。
オレとユウジは今まで知らなかった入り組んだ岩場や魚がたくさんいる場所をウミに教えてもらった。いつもの遊び場がもっともっと楽しくなっていった。

そして帰る前には、きまって最後に息止めゲームをした。オレはなによりこの時間が好きだった。
息を止め、そっと目を開けるとあの時見た幻想的な世界が広がる。
ユウジはあいかわらず目を閉じていたけれど、オレは必死で息を止めながら、ウミと一緒に秘密の、もう一つの海の姿をできる限り眺めた。


同じクラスの女子たちは学校にも行っていない、どこの子かもわからないウミを不思議がりながら「知らない女の子と遊んでる〜」なんてオレたちのことをからかってきたが、オレとユウジは全く気にしなかった。
誰に何を言われてもウミと遊ぶのが楽しかったし、毎日海に行くことが前よりも100倍楽しくなった。

だけど、そんな日々はある日突然終わった。


いつものようにオレたちが海に行くと、そこにはクラスメイトのアサミがいた。

「お前...何してんだよこんなとこで」

オレは、自分のテリトリーが勝手に荒らされたような気がしてぶっきらぼうにアサミに言った。
アサミは砂浜に降りる前の堤防で呆然と立ち尽くしている。

「アサミ...?どうしたの?」

ユウジが心配そうにアサミの顔を覗き込みながら聞く。

「わたし...わたし、なんにもしてないもん!ただあの子を公園に誘っただけで...」

「何?あの子って...ウミのこと?」

「お前、ウミになんかしたのかよ!」

オレが問いただしても、アサミはそこから泣きじゃくってしまって、何を言っているのかよくわからない。
ユウジに押し除けられたオレは、1人浜辺に降りて行った。砂浜に座って、海を眺める。心がざわざわした。


しばらくして、ユウジが浜辺に降りてきた。

「ごめん、オレ、アサミがウミになんかしたのかと思ってムカついちゃって...」

オレがユウジにそう言うと、ユウジが隣にすとんと座りながら言った。

「ウミ、消えちゃったんだってさ」

「え...?」


ユウジの話によると、アサミは浜辺でオレたちを待つウミを見つけて声をかけたらしい。そして、公園に行けばオレたち以外にもたくさん人がいるし、女子もいるから一緒に遊ぼうとウミを連れ出そうとしたと言う。
それに抵抗したウミに、ムキになったアサミは無理やり手を引いて浜辺から出ようとした。

「そしたら、堤防にあがった瞬間に、ウミが消えたって」

「...ふぅん」

オレは、ユウジの話を聞いてそう答えた。
なぜかわからないが、なんとなくそりゃそうなるだろうというような不思議な気持ちになった。

「...タクヤ、驚かないの?」

「お前は?」

「俺は...聞いた瞬間はびっくりしたけど、なんか、納得した」

「だよな。オレもそんな感じ」


オレたちは、なんとなくわかっていた。
ウミが普通の"町の子ども"ではないこと。
いつも同じ時間に同じ場所でしか会わないこと。
オレたちが家に帰るときに、ウミはどこにも帰らないこと。

でも、その理由を聞いたり何かを知ってしまったら、もうウミとは会えなくなるような気がして、ずっとそれには触れないでいた。


「消えたって...どこに行ったんだ?ほんとにいなくなっちゃったのかな、ウミ」

「わからない。でもアサミは堤防に乗った瞬間に足から消えていったって」

話をしているうちに、夕暮れが近づいてきた。

「なぁ、帰る前にあれだけやって帰ろうぜ」

オレはユウジにそう言って、海に入った。
いつものようにせーので息を止め、水の中に潜る。


数秒後、俺はすぐに顔を上げ立ち尽くした。

「なんだよタクヤ、早いじゃん。もう終わり?」

驚いて水面から顔を上げるユウジ。

「...やべぇ、目開けちゃった。すげー沁みる」

「はは、目赤くなってるよ」

「...なぁもう帰ろうぜ」

オレはそう言って、海水を拭き取るように何度も何度も顔を拭いながら海を出た。


<完>


「海の友達」、こんなストーリーになりました。


そして、第6回の新しいお題を昨日からUPしております!
今回のテーマは「Beyond the wall」です。テーマ画像も載せてみます。


暑い日が続いているので、ちょっとひやっとする展開がありそうな画像を作ってみました。
さっそくリレーも始まっています!ありがとうございます!(号泣)


最初の書き出しや、テーマの画像は掲示板以外でも見えた方がいいかな?など、メンバーシップのやり方、最近色々考えています。
試行錯誤しながら色々改良して、もっと楽しめるようなメンバーシップにしていけたらいいなぁ。

これからもよろしくお願いします^^



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