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美術品

美術品には一向に食指が動かない私も、建築物には心が動きます。建築と美術の違い、それを一言でいえば、用の美にあります。

いかなる建築物も、無目的には存在しません。そこに住み、働き、集い、あるいは納める。建築物には、それぞれ目的、言い換えれば、機能があります。

そこに敷地や、資金や、自然や、都市計画等の与件が加わって、諸々の制約や葛藤の中から建築物が形作られます。

いわば、人の営みの形而化であって、ショーウィンドウに飾られる建築物など皆無といっていい。その種の用の美に心を奪われ、今日もたたずみます。

建築と、絵画や彫刻といった純粋芸術との大きな違い。それは、建築が必ず日常の現実の中に存在する、極めて具象的な存在だということです。観念的、抽象的な思考と、具体的、具象的な世界ーー建築というプロセスには、いつもこの相反する二極の狭間での、せめぎあいがある。(安藤忠雄「水のこと」)

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