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退院の手続きを終えて

退院の手続きを終えて、一人、病院の喫茶店に入ります。自由を回復した喜びより、立ち去り難い気持ちの方が少し強い気がして、苦笑いします。

「服役を終えた囚人たちもまた、こんな気持ちを抱くものなのだろうか」。コーヒーを諦めてホットミルクをすすりながら、意味のない空想にふけります。

入院生活がやけに懐かしく思えます。それは、苦しみと痛みを味わった1週間であり、「自分とは孤独な存在だ」と今更ながら思い知った1週間でした。

同時に、回復の喜びを日々感じて過ごした1週間でもありました。もう2度と懲り懲りだけど、あの病室の窓に一礼する気持ちで駅に向かうバスに乗りました。

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皮膜
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