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君のスネに脚半を着けてやりながら
君のスネに脚半を着けてやりながら、私は、内心、憤っていた。「いいのか、2025年の葬式がこんな時代認識で」。もちろんそれは、的外れな怒りだ。
「死出の山を越え、三途の川を渡っていく険しい道のりですので、無事に乗り越えられるよう、残された方方が旅支度をして差し上げてお送りいたします」。
斎場の係員は、イチイチ物体振った所作で納棺を進行する。仏衣を着せられる君を眺めながら、君がそんな時代錯誤な格好でどこかへ歩いて行く姿を想像する。
友人の妻であり密かに慕っていた女性の死に接した漱石が詠んだ。ある程の菊投げ入れよ棺の中。死んでしまった者に生き残った者がしてやれる事は、少ない。
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