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先刻から(2)

先刻から、青首大根の、その青から白へ連なるグラデーションを眺めています。世の中は、そうやって緩やかにつながって構成されています。それなのに。

ウザい。キモい。意味ワカンナイ。そうやって嫌ってみせて、遠ざけてきた事柄があります。住み分けによる解決が許される時勢でもあります。

嫌いなものならそれ以上、知る必要はなく、悩む必要がなく、関わる必要もない。そうやって割り切らなければ、精神衛生上もよろしくありません。

けれど、思います。そうやって切り捨てた気になって、その実、思考を停止させている事柄の中に、やっぱり大切なことが、それなりに含まれている、と。

何といっても「憎悪する」ことは処世的才能の一つである。

(芥川龍之介「侏儒の言葉」)

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皮膜
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