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今年の5曲目

今年の5曲目、中島みゆき詞“帰省“、聴きました。

「悪口ひとつも自慢のように/ふるさとの話はあたたかい/忘れたふりを装いながらも/靴をぬぐ場所があけてある/ふるさと」。

故郷について、“異国“という歌では、そういいました。でも、同じ歌で、「くにはどこかときかれるたびに/まだありませんと/うつむく」ともいいます。

“時代“でも、いつか故郷に「出会う」日を信じて旅する旅人を歌います。故郷に「帰る」日ではなく。中島みゆきと故郷との関わりは、一筋縄ではありません。

そんな彼女が“帰省“という曲では、「8月と1月」の情景だけで、日本人の故郷観の一端を言い当ててしまいます。やっぱり、一筋縄ではありません。


帰省

遠い国の客には笑われるけれど
押し合わなけりゃ街は 電車にも乗れない
まるで人のすべてが敵というように
肩を張り肘を張り 押しのけ合ってゆく
 
けれど年に2回 8月と1月
人ははにかんで道を譲る 故郷からの帰り
束の間 人を信じたら
もう半年がんばれる

機械たちを相手に言葉は要らない
決まりきった身ぶりで街は流れてゆく
人は多くなるほど 物に見えてくる
ころんだ人をよけて 交差点を渡る
 
けれど年に2回 8月と1月
人は振り向いて足をとめる 故郷からの帰り
束の間 人を信じたら
もう半年がんばれる

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