ウランバートル上空の雲は、厚く、飛行機の乗客に旅の余韻に浸る隙を与えず、町の姿を消してしまいました。都市と草原、伝統と近代。全てが雲の下です。
この首都の住民の3分の2は、今もゲルに住みます。かつて草原を疾走していた彼等が、様様な事情で都市の周辺に集まり、新たな共同体を形成しています。
「勇ましきモンゴルの賢き民に自由と幸福あらんことを」。この国の国歌は、そう唱えます。私も、心からそう願います。
イデオロギーや統治機構など、この際、何でもいい。彼等がただ幸福ならば、それでいい。そんなことを思いながら、草原に浮かぶ島から遠ざかっています。