モンゴルの遊牧民の中にはタバコを飲む男たちが多く、彼等が草原の真ん中で出くわせば、互いのタバコを交換します。
広大な草原を移動しながら暮らす遊牧民には贈与の精神が深く根付いており、見知らぬ者であっても、当たり前に食料や物資を分け合ってきました。
「さすがにウランバートルでは、そんな習慣はないだろう」と思いながら町を眺めれば、でも、若者が見知らぬ若者を呼び止め、タバコを拝借していました。
彼等は、見知らぬ相手に対してある種の信頼を寄せています。都市に暮らす若者たちの中に遊牧民の痕跡を見て、無性にいとおしくなります。