誰もいない(1)

誰もいない部屋で、スマートフォンに向かって話し掛ける。「ヘイ、シリー」。そんなこと、恥ずかしくてできない。

その頑固さが邪魔して、音声アシスタントを使いこなせません。私の周りでも、「ヘイ、シリー」とか「オッケー、グーグル」とかいってる人は、少数です。

その逆バージョンは、どうか。この頃、ローソンでは機械に話し掛けられます。「有料ノれじ袋ハ、必要デショウカ？」。

「はい、必要です」「いいえ、いりません」。それを答える先は、私に話し掛ける気もないニンゲン（店員）です。これは、「ヘイ、シリー」より恥ずかしい。

「話し掛けるのが面倒なら、客にだけ発語を求めるなよ」という不平不満は、でも、あまり聞こえてきません。シリーなら、分かってくれるカナァ。