非電気系理系40代会社員が電験三種を取るまで
電験三種って、合格できるの?
電験三種(第三種電気主任技術者)の資格を取得するために日々頑張っている皆さん、大変お疲れ様です。
私は会社から「受電電圧を上げるかもしれないし、そうすると資格が必要だから、電験三種取得できるように頑張って」と言われ、何のことかもわからず二つ返事で「はい」と言い、ひどい目に合いました。
そもそも設備の主担当ではないし、電気のことはさっぱり分からなかったし。
会社は66kVの特別高圧受電を考えているらしく、第二種電気主任技術者の資格が必要なのですが、電験二種は無理、と今のところは拒否しています。
試験を受けるとわかりますが、電験三種は幅広い年齢層の方が受験しています。男女比は圧倒的に男性が多いと思います。9割以上が男性だったので、女性の受験者は少ないようです。
電験三種という資格についての説明は割愛します。Web上にたくさん情報がありますので、そちらをご参照ください。
このnoteでは私が合格までに行ったこと、勉強したことを書きます。
物語調に書こうかとも思いましたが、そうすると自分が主人公の自己満足noteになってしまい、大切な情報が埋もれてしまうので、楽しく書きながら、不要な部分は削ろうと思います。
それでも長文になります。なぜなら・・・。
取得まで約1年8か月勉強した。
3回受験した。
からです。
このnoteでは3回の受験の間に勉強したことを書きます。
このnoteには
一回の受験で合格できた。
電験三種は簡単。
これを解けば、使えば合格間違いなし。
などという情報は一切出ません。
そこそこ効率よく、それなりに時間をかけて勉強したことが書かれています。資格試験勉強全般に言えますが、勉強中は楽しいですが辛いです。私は合格するか不合格か、という不安とともに過ごすからです。
簡単に合格できる方法を知りたい方は、他の情報を調べてください。
おそらく簡単に合格できる方法は、ありません。
前提条件としての自己紹介
自己紹介をします。
どんな人が受験したのか、という前提条件は重要な情報だと思っています。
42歳、男性
化学工業系、素材系メーカー勤務
妻、息子(高校1年)、娘(中学2年)の4人家族
土日祝休み。朝7時過ぎに出勤し、18時頃に帰宅
国立大学大学院卒。専攻は化学
取得資格は
公害防止管理者水質一種
公害防止管理者大気一種
高圧ガス保安管理者乙種化学
甲種危険物取扱者
衛生管理者
など
大学1年の時に物理の教科書を読んで、公式の意味がさっぱり分からず、フーリエ変換ラプラス変換に拒否感を覚え、計算をしたくないから物理学科に行かず、好きな化学科に進んだのに、なぜここで電磁気学を勉強しなおさなければならないのか、と苦悶の日々でした。
このnoteには「合計何時間勉強しました」は書いていません。何時間勉強したか、覚えていませんし、数えたこともないです。
日々の勉強時間はだいたい以下の通り。
平日:週2日、1時間くらい。
土日:どちらか5時間くらい。午前2時間半、午後2時間半、くらい。
といった程度です。たまに日曜日も勉強しましたが、休まず勉強したら、平日の仕事で疲れ果てるので、できるだけ日曜日は勉強しませんでした。
1回戦 令和4年上期
令和4年から電験三種の受験回数が1回から2回に増えました。
これは非常にありがたいことです。年に2回も受験のチャンスがあります。受験と受験の間が短いとモチベーションを保つことができますし、覚えたことを忘れる前に受験できるので、この変更点は本当に助かりました。
U-CANテキストで試験勉強開始
まず基礎から取り組みました。
使用した教材はユーキャン(U-CAN)のテキストです。
電験三種は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目です。
この本には4科目の基本が全て載っています。2色刷りです。カラーではありません。
U-CANテキストの利点
全科目が網羅されている。
丁寧な解説で読みやすい。
ページ数が適度で挫折しにくい。
補足事項が左右の欄に記載されている。この補足事項が結構出題される。
U-CANテキストの欠点
ページ数の都合上、全てを細かく説明しているわけではないので、分からないところはWebなどで調べる必要がある。
出題範囲の全ては載っていない。抜粋されている感じ。
問題数は少ない。参考書だから当然。欠点ではないかも。
法規は内容が全く足りない。これだけで法規合格は難しいと思う。
U-CANテキストは参考書です。問題集ではありません。
これは他の資格試験や大学受験、高校受験でも言えることですが、私は「参考書を問題集として扱ってはいけない」と考えています。参考書はあくまで教科書もしくは教科書の補助的教材であり、読み物だと考えます。
問題集は言葉通り問題を解くための本です。
解答とともに、解説が丁寧に書かれているものが良い問題集だと考えます。参考書の一部に載っている問題は、あくまでその単元の確認問題として利用するとよいと思います。
参考書:インプット用
問題集:アウトプット用
このテキストは良いと思います。最後まで使いました。
忘れていることが出たら辞書のように、教科書のようにテキストを開いて確認しました。1冊持っていると便利です。
この本を3周読んで、問題を解いて試験に挑みました。
1回戦は様子見
U-CANテキスト1冊で戦いに挑みましたので、全科目合格は最初から狙っていません。「理論」と「電力」だけ受験して帰宅しました。「機械」と「法規」はあまり勉強していなかったからです。計算が苦手なので、機械科目はあまり理解できませんでした。仕事でも電動機を見たり使ったりする機会はないので、原理もよくわかりませんでした。
【結果】
理論:65点 合格
電力:50点 不合格
機会:未受験
法規:未受験
1回戦で理論を合格できたのは大きかったです。
残り3科目勝負となりました。
2回戦 令和4年下期
お金の力でどうにかしよう
1回戦で電験三種の難しさを実感しました。
このままでは合格できない。
そう思い、1回戦を受験した数日後に申し込んだのがこれ。
SATの講座です。
2023年8月現在で、EラーニングとDVDのセットは152,680円でした。2022年に申し込んだときは、もう少し安かったような。気のせいかな。高いです、はい。さらに言うと、Eラーニングだけで十分でした。それであれば119,680円です。DVDは使わなかったので、3万円損したなぁ。
フリマでは中古品が出品されていますが、私は正規品を買った方がよいと思います。正規購入すると、年度が替わると最新のテキストを送ってくれますし、過去問も最新のものを送ってくれます。
こういったアフターケアを考えると、正規品が良いです。
SATの講座の利点
テキストがフルカラー
動画でテキストを説明してくれるので非常に理解しやすい。
地方でも都市部の資格系塾に通っているのと同じ質の授業を受けられる。
基礎から丁寧に説明してくれる。
テキストの解説の範囲が広い。余談もある。
一単元の時間が短く、飽きずに勉強できる。
過去問5年分の解説がある。非常に丁寧。
動画は期間中であれば何度でも見られる。復習が楽にできる。
SATの講座の欠点
費用が高い。これを受け入れるかどうか、は人それぞれ。
誰でも理解できるように構成されているため、深い学習は難しい。
難しい問題は無理に解かなくてもいい、という旨が伝えられるが、試験ではSATの教材レベルは全て出題されると思った方がいい。
過去問5年分は少ない。10年分は欲しい。
法規は内容が少し足りない。
高いだけあって、説明は丁寧です。わかりやすいです。
欠点も「あえて挙げると」といった内容です。SATの講座を全て理解して試験に臨めば、おそらく4科目とも合格すると思います。
私は動画を2周、テキストを3周、過去問5年分は3周解きました。
過去問5年分は暗記しました。
2回戦は不安半分、期待半分
お金と時間をかけて臨んだ2回戦。できることならここで決めたい。ただ、最低でも2科目は合格したい。機械は苦手だから電力と法規は合格したい。
いろいろな思いで臨んだ2回戦。
ちなみに2回戦は2023年3月に受験したのですが、同1月は息子の高校受験でした。家庭では息子の受験で手一杯のなか、自分自身も大一番に臨みました。
【結果】
理論:免除
電力:85点 合格
機械:90点 合格
法規:50点 不合格
最低限の仕事はした、という感じでした。全体的に易化していました。
法規は初受験でしたが、計算問題(B問題というもの)が全く分からず。
電験三種は簡単には取得させてくれない難関です。
3回戦 令和5年上期
最終関門 法規科目 ともに戦った3冊
2回戦終了後、法規科目が不合格であることが分かり、次の試験日までの約5か月を法規科目一本に絞って勉強することになりました。
購入した本はこちら。
このTACの本は法規科目に特化した参考書。
フルカラーで読みやすいです。絵も多く描かれています。ひとまとめで覚えたいことは表でまとめられています。視覚的に覚えやすく、よい本です。
問題集は過去問から抽出されたもので、分野別にまとまっています。
計算問題は苦手な分野を集中して勉強することができます。
私は教科書編を2周読み、問題集も2周解きました。
また、忘れたときにU-CANテキストと併用して、このTACの教科書を読み直しました。
はっきり言って、これは辞書です。
電験の受験が終わって、実務で電気を取り扱う人でも使える一冊だと思います。
見開きの左側には電気設備技術基準及び解釈の文章、右側には解説が絵付きで描かれています。
必要な部分のみ読めばよいですが、私はこれが非常に役に立ちました。
配線工事や移動電線、接触電線など、見たことのないものが絵で描かれているのがありがたいです。さらに条文に書かれている数値(長さなど)が絵に記載されているので、これも視覚的に覚えるには最適です。
最後はこれ。過去問です。過去15年分の過去問が載っています。
解答の説明はそこそこ丁寧です。わからないところはTACの教科書とU-CANテキストを読み直して確認しました。
私はこれを3周解きました。
1周目は辛かったです。計算問題は心が挫かれる思いでした。とにかくつらかった。それしか覚えていません。
2周目はだいたい覚えていたので各年度80%くらいは解けました。
3周目はほぼ暗記していました。短時間で解けましたので、自信もつきました。各年度90%は解ける実力までつけられました。
さあ、決戦です。
【結果】
理論:免除
電力:免除
機械:免除
法規:94点 合格
どうだったでしょうか
私の場合、時間もそこそこかけましたが、どうしても取得したかったのでお金をかけました。通信講座については必要だったかどうか不明です。
しかし、基礎から授業を受けたかったので、今後のためにも大事だったと思います。
皆さんがほしかった情報を書けたでしょうか。
もし知りたいことがありましたら、お気軽にお声がけください。
私はプロではありません。プロではないからこそ、電気初心者の方の気持ちがよくわかります。
報われない努力もある。でも、努力しなければ、そもそも報われない。
おまけ
合格のご褒美として買った本がこれ。
電力科目、法規科目を勉強するにつれて、電柱や鉄塔に興味がわきました。
電柱や鉄塔を見ていると、
「これは法令や基準に基づいて作られているんだ」
「あの形の鉄塔、珍しいな」
などを思うようになりました。
高速道路を運転していると、さらに様々な鉄塔を見ることができ、運転に集中しなければならず、歯がゆい思いをすることが多々生じてきました。
だいぶ電気にやられたようです。
電柱と鉄塔は素晴らしい。
ただ電気を伝えているだけではない。そこにはさまざまな部品が取り付けられています。雷から支持物と電線路を守るための部品があり、がいしがあり、需要設備に電気を供給するための引込線があり、柱上変圧器があり、3相三線の電線がある。
こんなにいろいろなものがついている工作物があるだろうか。
と、いうことで、これからは他の資格試験の勉強をしながら、鉄塔のすばらしさを感じようと思います。
最後までお読みいただいた皆さん、ありがとうございます。
そして、これから電験三種を取得しようとしている全ての方に、あきらめずに頑張ってもらいたいです。