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母との旅〜スペイン〜グラナダ

 52年前に仕事の休暇ではじめて海外に行ったのがヨーロッパなのと母から聞いた。わたしが生まれる前の話を聞いたのはいつだっただろうか。大学に入って第二外国語を決めないといけない時に、なんとなくスペイン語を選んだ。その後学生時代に、中米のグアテマラに行き、就職してから青年海外協力隊の試験を受けた。受かってから親に報告。止められないと思ったのか、ちょっと呆れられながら見送られ、20代半ばに南米のボリビアで2年間を過ごした。

その後、父親が定年退職してからこっそり、シニア海外ボランティアに応募していた。「娘が娘で勝手なら、父親まで」と母親は離婚すると言い出すほどだった。
絶対に行かないと言っていたのに、2年間の派遣の後半残り1年になって、父親のいるニカラグアへ行った。途中、どんな風に生活しているのだろうかと会いに行くと一回り小さくなった母親がいた。

どうして、ヨーロッパに興味がないのとよく言われた。なんとなく、ヨーロッパはもう少し歳をとってからでもいいかなと思っていた。若い頃はまだ発展途上国と言われる国に行ったみたかった。

気づけば私も40代後半になり、母親も70代後半。いつかまたスペインに行きたいという言葉をまたいつかと言っていたら、もうそんな時は来ないかもしれないと思って、一念発起した。

スペインなら、スペインのどこに行きたいのと聞くと、アルハンブラをもう一度見たいと言う。それからバルセロナも。以前具合が悪くなり、サグラダファミリアも見れていないからと。せっかく行くならポルトガルのナザレにも行きたいと言う。そんなツアーはないので、ほぼ個人手配の旅になった。

ポルトガルに入ってから、スペインのバルセロナに渡り、そしていよいよアルハンブラのあるグラナダに到着した。ホテルもここは贅沢をして、アルハンブラ宮殿の近くのパラドールを予約していたので、ゆったり滞在できた。

グラナダ市内

ホテルでゆっくり休んでから、歩いてアルハンブラ宮殿へ。ナスル朝宮殿の中はイスラム建築の美しさに圧倒される。母が感慨深げに見ている。宮殿のいちばん奥にあるライオンの中庭の噴水で、このライオンの顔がいいのよねと話す。確かに、あまりこわくない、ユーモアのある顔がかわいい。

よく見るとちょっとずつ違う顔のライオン

外に出ると、グラナダは秋の気配で樹々が紅葉していた。柿の木もあり、鳥が柿の実を食べにきている。外のベンチでゆっくり座って眺める。翌日、万が一飛行機が遅れて見ることができなかった時のために、アルハンブラ宮殿のチケットを取っていたので、今度は朝に入場。天気も青空で、朝の光がまた美しい。たっぷりとアルハンブラ宮殿を見ることができて、母もゆっくり見れて本当に良かったと喜んでいた。

イスラム建築って美しい!

夜のフライトしかなったので、グラナダの市内を少しぶらぶら。母の直感で、入ったバルが大正解。次から次にお客さんが入ってくる。グラナダのバルは一杯ドリンクを頼むとタパス(おつまみ)が無料でついてくる。というわけで、初めはビール、次にワインを2杯頼んで、パエリア、イカのフライ、ムール貝まで、いただいていい感じにほろ酔いになる。空港行きのバスに乗ると二人とも熟睡。空港に着いた時に、着きましたよと起こされるほど。

グラナダのBar
無料のタパスがすごい

夜にバルセロナに着いて、もう1日最終日をバルセロナで過ごして日本へ戻ってきた。しばらく時差ぼけに悩まされていたけれど、今は日常生活が戻ってきている。
帰ってきて、今はスッキリしている。ずっとやらなければと思っていた宿題ができた感じ。若い時は母親と反発して、一緒に旅をするなんて考えもしなかったけれど、わたしも母もだいぶ丸くなってきた。そして、お互いにあまり期待をしなくなってきた。

今回は、ガイドさんがいて、黙っていても連れて行ってくれるツアーではなかったので、私がガイドさんのように色々しなければいけないこともあったので、ちょっと大変なこともあった。けれどもそれもいい思い出。久しぶりに使ったスペイン語も懐かしくて、またもう少し勉強したいなと思うようになった。海外はまた別の空気感があって新鮮な気持ちになれる。旅はやっぱりいいなと思う。

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